特集4/ケーススタディ

世代の変化が美容室の質を変える

 今、美容業界は若年層中心のビジネスから、これまであまり注目されていなかったサポートエイジ(美的加齢世代/注1)やアクティブエイジ(団塊世代)に焦点を当てはじめている。美容室への年間投資額や人口ボリュームはこの層が最も多く、ビジネスチャンスは大いに残されているとみられている。この層は、今まで市場を押し上げてきた若年層の表層的な美(ファッション)のニーズだけでは満足しない。ちょうどデパートの地下人気が従来の1階のコスメ&ファッションになりかわったように、この層は健康・癒しを加味した美やQOL(生活の質)の向上をニーズとして求めている。
 Drawing 3/4で示すように、高単価の年代層は20代の未婚で、年間の利用回数は4・7回、年間総額は3・8万円。一方低単価の年代層は10代と50代だが、50代の年間の利用回数は7・4回、年間総額は4・8万円と、年間支払い総額に1万円の差が出ている。さらに、20代の未婚者は数年後には結婚を迎え、通っていたサロンを離れる可能性が高いが、一方、50代は同じ地域に20~30年は定住すると考えられ、固定客となる可能性が高い。この世代はビートルズ世代ともいわれ、戦前生まれの世代とはまったく異なる価値観をもち、つねに若々しくありたいと願い、本格的なプライベート生活を楽しむためには時間とお金を惜しまないといわれている。
 今この層をコアターゲットとした「ヘアケア」や「リラクセーション」を売り物にする新たな店舗展開が始まっている。ヘアケアとしては今や日本の女性の7割がヘアカラーをするようになり、髪のダメージは熟年層だけでなく若年層でも深刻だ。美容室はその傷んだ髪を再生するトリートメントメニューに力を入れはじめている。また、髪だけでなく身体や心の再生のためのリラクセーションメニューも同様で、これらのメニューは若年層にも人気があるようだ。

(注1) サポートエイジ
子育て真っ最中の40代前半世代。独身時代はバブル期で、海外旅行・グルメなど生活を謳歌した。平成ニューファミリー世代ともいわれる。

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