
幹線道路沿いの敷地にあって、条件であった18台の駐車スペースを確保したうえで、残りの100坪すべてを建築面積として計画。内部は、客をプライベートにもてなすことのできる個室型を志向している。しかし、個室では空間に閉塞感があり、またスタッフの作業動線が長くなりサービスの連携が悪くなる。そこで、サークル状の個室を連続させて、ひとつながりの曲面壁で構成された連続空間が導入された。プランでは、客が座る椅子を中心に作業半径(1,250㎜)を最小寸法とする24のサークル状の個室を設け、16席のカット椅子を分散的に配置。曲面壁はカットスペース部分で1,400㎜の高さで水平に切断されることで、座っている客にとっては個室、立って作業するスタッフ同士にとってはアイコンタクトができてサービス連携のよい大空間となる。床レベルは奥に行くに従いスロープ状に下がっていき、カットスペース以外の個室の壁の高さは変化。レセプションデスク、待ち合いベンチ、カウンター、ディスプレイボードなど、天板の機能や意味が変わっていく。床と壁の接線は、曲面加工を施して継ぎ目をなくしている。奥行きを判断する情報を消去することで、圧迫感のない壁となると同時に、幅木に髪の毛がつまらない。さらに、各個室にはきわめて薄い色のグラデーション塗装を施すことで、繊細でやさしい雰囲気を備え、各個室間の移動をシームレスな空間体験として演出している。





