特集2/インタビュー

変化する美容室

八木岡 今原宿あたりだとお客さんの30%ぐらいは男性です。ファッションゾーンというか、この表参道から青山の根津美術館までのあいだに、美容室が700軒ぐらいあるといわれているんです。
―― それは異常ですね。
八木岡 異常ですが、それだけ集客できるということなんです。だからこの地域の家賃も高くなっています。昔の美容室と比べると固定費は数倍になっているんじゃないでしょうか。
―― この激しい競争のなかでみんなが生き残れている理由はなんでしょう。
八木岡 理美容合わせれば世の中の人全員がお客さんなわけですよ(笑)。日本人すべてが通う業種はそんなにないと思いますね。
―― 客単価は確実に上がっていますよね。
八木岡 というよりメニューが多様化しています。まずパーマ&セットの時代がありました。カーラーで髪を巻いてお釜をかぶるとか。その次がカットブームです。サスーンカットなどがそうですね。その流れのなかでカット&ブローというのが出てくる。巻かないでセットをするとか、カットで形をつくるとか、それがちょうど70年代ですね。80年代あたりからソバージュブームというのが来るんです。カット&ブローからナチュラルドライという新しい仕組みになるわけです。洗いざらしの髪というのはこの時代から出てきました。TOTOさんにも影響があったでしょうが、モーニングシャンプー、朝シャンとかがはやりましたね。その次の90年代ぐらいが一番あいまいな時期で、僕はニュアンスの時代というふうに呼んでいます。その当時、スタイリング剤でワックスとかが出てきて、それまではきれいなパーマがかかっていれば洗いざらしでよかったのがもう少し動きとかニュアンス、というか形の造作感をつくっていく。髪の毛を立てたり、少し跳ねるようにするとか、外国人風くせ毛のようなそういうニュアンス。その次がカラーブームで、これは最近までつづいています。この2~3年前までぐらいがミドルトーンで、その前がハイトーン、みなさんの髪がどんどん明るくなって……。これは僕も相当仕掛けたほうです(笑)。ミュージシャンを使って、『DaBのダブルカラー』(新美容出版)という美容界では一番売れた本だと思うんですが、出してます。
  • 前へ
  • 3/6
  • →
  • Drawing
  • Profile
  • Data

TOTO通信WEB版が新しくなりました
リニューアルページはこちら