多様な白のオフィストイレ

重厚感の美術館トイレ

 さて、明治の香り漂う「三菱一号館」の内部も興味津々だが、地上34階建ての「丸の内パークビルディング」も、丸の内エリア最大級となる1000坪超の無柱空間を実現した最先端のオフィスを備えた複合ビル。丸ビルを皮切りに、ほかのオフィスビルが手本とするワンランク上のトイレ空間をつくりあげてきた三菱地所だけに、その水まわりも気になるところ。両棟のトイレを取材した。
 まず最初に見学したのは、「丸の内パークビルディング」のオフィス基準階のトイレ。設計を担当した三菱地所設計の高田慎也さんによれば、同ビルではエレベータホールや廊下などの共用部をあたたかみのある落ち着いた空間にするため、照明の色温度を3000ケルビンに抑えているという(一般的なオフィスビルで4200ケルビン)。そこで、トイレ空間はそれとはメリハリをつけ、内装色は清潔感のある白を基調とし、かつ外光を取り入れることで、「執務空間からトイレに入ったときに、リフレッシュ感をもっていただきたいと考えました」と高田さんは言う。
 実際にトイレ手前の共用廊下を歩いてみると、確かに通常のオフィスと比べ、暖色系の明かりが上質感をかもし出しているが、トイレ内に入ると開口部からは自然光が射し込み、内装も白で統一されているため、一気に目が覚める印象だ。
 内部の間仕切り壁はゆるやかにカーブしているが、これはビルの外壁に見られるアール形状を取り入れたものだという。よく見ると、同じ白でもタイルはマットなものと艶のあるものを使い分け、アールの壁は塗り壁にするなど、内装は一様ではない。「多様性のある白を表現したかった」と高田さん。
 これに対し、「三菱一号館」のトイレは対照的。外光が入る十分明るい空間だが、茶系を基調にしたインテリアには外観のイメージそのままの重厚感が漂っている。とくに目を引くのは、洗面カウンターや小便器コーナーの上の壁面。組積造の煉瓦壁面がむき出しになっており、凹凸のある表情が間接光に照らし出されて美しい。建物内の廊下などの壁面はほとんどが白い漆喰仕上げなので、トイレは内部で数少ない、煉瓦の壁が見て触れられる貴重なスペースだそうだ。

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