特集1/インタビュー

Part 2

緩衝空間は拡散光の大きな穴「光の矩形」2007

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―― 先ほど少しお話の出た「光の矩形」です。これは都市型の立地ですね。
五十嵐 札幌で初めて建てた住宅で土地が35坪。それも風致地区なので、建坪は12坪しかとれません。物理的に外形が決まるのは、こんなに楽なものか(笑)と思いました。バッファーゾーンを四方にとって入れ子にしようと思いましたが面積的に難しく、南と北にバッファーゾーンを残しています。ここも、光の矩形をつくるのが目標ではなく、屋外とどうつなぐかとか、床面積が小さいなかでどう天井高をとるかとか、そういう与条件を僕なりに解いていってこうなりました。こうなりました、というのは、投げやりな設計に聞こえますけれど(笑)、そうした流れのなかで進めることが多くて。断面的には、凍結深度(*2)の分を掘ってしまい、天井を高くとりました。地下部分は熱環境としても比較的安定するので、積極的に使っています。リビングダイニングと南側のバッファーゾーンとのあいだには腰壁を立ち上げて、空気溜りをつくりました。
 南側のバッファーゾーンは、吹抜けの光溜りになっています。リビングダイニングとのあいだは大きな穴で、ガラスも何も入っていません。ここのエッジを45度に切ったことで、光がスパッと、よい効果で見える。ここにも垂れ壁をつくって、同じ条件でまわそうかと思いましたが、天井が吹抜けにつながっていく上昇感を断ち切ってしまうのでやめました。バッファーゾーンの両サイドをガラス張りにして、向こう側の壁に当たった光を入れたのは、拡散光を得るアイデアの一環です。壁をちょっと斜めに振ることで、光がうまく当たるだろうと考えました。またサイドの窓の大小は、周辺に若干の庭がある側は光の効率がよいので90cm幅と広くし、それが望めない側は45cm幅としています。広いガラス面が平面上で飛び出しているのは、このエッジとガラスの距離をなるべく大きく取ると効果的に拡散光が得られると思ったからです。

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