- ―― 選択肢が増えている点を具体的に教えてください。
- 三石 バスタブでいえば、4種類のバスタブを開発しました。「どっぷり浴槽」「ワイド浴槽」「ステップ浴槽」「スクエア浴槽」です。もちろんすべてが二重断熱構造の「魔法びん浴槽」です。さらに「スクエア浴槽」以外の3つは同じ値段で選べるようにしました。
- ―― なかでも「どっぷり浴槽」はユニットバスの概念を変えているといっていいかもしれませんね。
- 三石 そうなんです。深さが550mmあります。1990年代からユニットバスの深さは各社とも500mmにまとまっていました。でもお客さまからは「肩までつかりたい」ともよく言われたんです。
- ―― この深い浴槽は、昔の日本人の常識でしたね。
- 三石 以前「ヨコハマグランドインターコンチネンタルホテル」(91)や「浦安ブライトンホテル」(93)を担当したときに、ホテルの浴槽深さの常識である430mmより70mm深い「和風タイプ」を採用しました。そのときに国内外のデザイナーから「肩までつかれるバスタブこそ日本の風呂のよさだ」と言われたことを印象深く覚えています。
- ―― ある意味、昔に戻ったのかもしれないけれど「これは新しいな」という感じがしますね。
- 三石 じつは、小柄な女性の方に「これ、大きすぎる」と言われたことがあります。でも実際にお湯をはって入浴してどっぷりつかってみると、「具合がいい」とおっしゃって。ですからショールームでのアドバイスや、流通ではまず工務店の方たちの理解を得ることが、一番大事だと考えています。