阿久津さんによれば、通路部分の天井裏を配管が通っているため、天井の低さを逆手にとり、素材を変えてメリハリを出すなど、リフォームゆえの制約を楽しみながらの設計だったそうだが、全体としては、和に傾きすぎない「和モダン」テイストで違和感なくまとまっている。
「『金谷らしさ』を出してほしいというのが小山さんの注文で、抽象的で難しいなと思いましたが、和の素材をモダンに使うことで自分なりに表現したつもりです」と阿久津さん。古いものを残しつつ、新しいものもうまく取り入れていこうとする姿勢こそ、金谷ホテルらしさということだろう。
それにしても、単なる一室のリフォームをここまで仕立て上げる企画力はさすがだが、前回に続き、この一室が呼び水となって、どれほどホテルに人を呼び込むことができるか。ひらめきと知恵で勝負する小山さんのお手並みを、今後も楽しみに拝見したい。





