自然の木が薫る、もてなしのトイレ空間

デザインリフォーム

ヘアーサロンの古くなった店舗トイレをリモデルする依頼を受けました。和式から洋式への変更と共に、女性客の上着の着替えというヘアーサロンならではの使われ方に考慮した空間設計や、店舗トイレに対する配慮、心地よさを求めた素材の選定など、次のようなコンセプトで設計と提案をしました。 ■女性客の、上着の着替えに考慮した、空間構成■ □以前からトイレの手洗い室を上着の着替え室として利用されていましたが、今回のトイレリモデルを機会に、その利便性の向上を図りました。 まず、洋式化に伴い、トイレ空間と手洗い空間とを隔てるドアを廃止して、それぞれの空間を一体化しながら着替え空間をできるだけ大きく確保すると共に、着替え時の荷物や衣類の置き場等を確保しました。バッグや衣類のハンガーフックはもちろん、上下に棚を配して、上の棚は小物などを女性でも置きやすく、取りやすい高さに設置し、下の棚はバッグなどを置きやすい高さに設置しながら、ちょっと腰をかけることも可能にしました。これにより、従来に比べ、手洗いのための空間でありながら、着替えの利便性にも考慮した、機能的空間として生まれ変わりました。 ■天然の素材を用いた、やすらぎ空間■ □このトイレ空間の天井には杉板、壁には珪藻土、棚および洗面カウンターには地松の無垢板を用い、自然素材の持つ温もりや、優しさが漂う、安らぎのある、心地良い空間に仕上げました。 ■店舗トイレとしての配慮とデザイン的工夫■ □店舗のトイレとして、安全性の観点からも当然手摺の設置が必要となりますが、自然木である地松カウンターの虚[ウロ]を利用して、トイレ利用時の把手部分を構成し、その横の肘掛け部分は、節部分を利用して大きめに木取りました。把手などの機能と自然美とを融合させた新しい提案ができたと思います。 また、縦の手摺は把手に近接させて、上下に配した剛性のある地松板に取り付けることで、機能性の確保と、自然木との一体化を図りました。 スペアのトイレットペーパーは、利用者が取り易い便器後ろ壁面を使い、壁のデザイン的なオブジェとして、見せる収納にしました。床は、清掃性や土足歩行などを考慮した、すべりにくい石目タイルで仕上げました。