おもてなしトイレに求められる5つのキーワード

観光地に続々誕生するおもてなしトイレ

数多くの観光トイレの調査や利用者アンケートを進めていく中で、「使いやすいトイレ」「きれいなトイレ」「快適なトイレ」の法則性が明らかになりました。ここでは、観光地などの「おもてなしトイレ」に求められる5つのキーワードをベースに、これからのあるべきトイレの姿を探ってまいります。

洋式化

トイレの洋式化は、おもてなしへの第一歩。もはや世界標準の前提条件と言ってもよい課題であり、トイレを使えない人をいつまでも残しておくわけにはいきません。ここでは「和式トイレをやめ、洋式化を急ぐべき3つの理由」を大きく掲げ、実証データやアンケート調査に基づいて解き明かします。

1. 和式は外国人が使えない

外国人が日本の公共トイレで困ったことをお聞きしました。和式トイレ経験のない欧米人はもちろん、ムスリムやアジアの方も困っている実態が明らかになりました。

●外国人が訪日当初、日本のトイレで困ったこと

  • 外国人のトイレに関するアンケート 複数回答
    実施時期:2014年9月~10月
    対象者:日本在住の外国人の方々
    年齢:20歳以上
    調査人数:600名
    ※TOTO名は伏せて調査実施

2. 和式は高齢者が使えない

自分から積極的に外出する高齢者でも、脚や足を動かすのがつらいという人は73%。洋式便器を利用するのは、避けようのない身体的理由からなのです。

●高齢者が腰掛便器を使う理由(自由記入)

  • 調査対象:65歳以上の高齢者100名(首都圏40km圏内居住者)
    調査期間:2011年2~3月(TOTO調べ)

3. 和式は菌だらけで汚い

和式便器を残した結果、多くの大腸菌がトイレ内の床や入り口付近まで拡散しています。この菌は食堂や調理施設に持ち込まれる可能性もあるのです。

●トイレ内糞便由来菌汚染度(大腸菌数CFU/cm2

  • 測定条件:調査場所/某公立学校トイレ 湿式清掃と乾式清掃エリア
    サンプリング箇所/和式便器まわりの湿式床、和式便器ブース前の湿式床、洋式便器下の乾式床、湿式床中央、湿式床トイレ入口
    調査場所/某公立学校トイレ 湿式清掃と乾式清掃エリア
    サンプリング箇所/和式便器まわりの湿式床、和式便器ブース前の湿式床、洋式便器下の乾式床、湿式床中央、湿式床トイレ入口
    試験方法/サンプリング箇所4cm2を滅菌綿棒でふき取り回収した。回収した細菌は大腸菌検出用酵素基質培地にて36℃で48時間培養後に計測した。
    *2012年7月 某公立学校での調査(TOTO総合研究所調べ)
    『2013年度第40回日本防菌防黴学会年次大会報告』
    『2013年度空気調和・衛生工学会大会報告』

ウォシュレット®

※「ウォシュレット」はTOTO株式会社の登録商標です。
日本のおもてなしの心をそのまま製品化したともいえる「ウォシュレット」は、技術立国日本が世界に誇る先進技術の一つです。ここでは兵庫県の有馬温泉に新築された旅館風のおもてなしトイレの事例と、「ウォシュレット」を短期間で飛躍的に普及させた「和歌山県おもてなしトイレ大作戦」の事例をご紹介します。

全数「ウォシュレット」を完備した太閤橋おもてなしトイレ

日本三古湯の一つとして知られる有馬温泉に建てられた「太閤橋おもてなしトイレ」の事例です。女性トイレは用足しから手洗いまでがブース内で行える個室完結型で、大便器は男女とも節水型便器とエコリモコン搭載「ウォシュレット」を採用。周囲の風景に溶け込み、おもてなし感覚にあふれています。

  • 昔ながらの旅館をイメージした外観が印象的な太閤橋
    おもてなしトイレ。

  • 太閤橋おもてなしトイレ図面

2年で20倍の「ウォシュレット」普及率!和歌山県おもてなしトイレ大作戦

和歌山県おもてなしトイレ大作戦」と称し、観光客向けに公共のトイレを整備してきた和歌山県。「洋式を入れる場合、温水洗浄便座にする」という整備基準によって、わずか2年で洋式率を20倍にまで高め、「ウォシュレット」を急速に普及させた先進的な取り組み事例をご紹介します。

●改修実績 | 洋式率(温水洗浄便座あり)

  • 改修前後の和歌山県の洋式率比較

●和歌山県内トイレの改修事例

  • 滝尻王子公衆トイレ(田辺市)
    大便器を「ウォシュレット」付き洋式便器に改修。手すりも設置。外観は変わりないが中身は大きく変化した。
    出典:「和歌山県内トイレの改修事例」(2015年7月 和歌山県)

多機能トイレ

2020年の東京パラリンピックでの期待が高まる車いすバスケ日本女子代表の萩野さん。海外や日本各地の遠征が続く中、トップアスリートが日頃感じているトイレについて伺いました。「多機能トイレに必須なのは、安心して使える手すり」。利用者の視点から多機能トイレのあり方を伺いました。

萩野真世(はぎの・まよ)さん
1993年3月9日生まれ。
宮城県仙台市出身。持ち点1.5。
宮城マックス・スクラッチ所属。

車いす利用者が便器に移乗する方法は、身体状況によってもさまざま。多機能トイレに求められるのは、多様なアプローチへの配慮です。

多言語対応

毎年のように増え続ける訪日外国人旅行者の快適な観光に向けて、各地で環境整備が進んでいます。トイレも、言葉の壁を乗り越え、より多くの人の「わかりやすさ」「使いやすさ」のために、できることから実現していきたいものです。トイレ操作パネルの標準ピクトグラムのことにも触れていきます。

  • 外国人のトイレに関するアンケート 
    ◎実施時期:2014年9月~10月 
    ◎対象者:日本在住の外国人の方々 
    ◎出身国:韓国、台湾、中国、香港、アメリカ、フランス、イギリス、タイ、マレーシア、インドネシア 
    ◎年齢:20歳以上 
    ◎調査人数:600名 
    ※TOTO名は伏せて調査実施

維持・メンテナンス

トイレがきれいであれば、施設全体のイメージアップに直結します。公共トイレを野外に設置する場合の、きれいを維持する設計ポイントの他、トイレ器具でできるトラブルやいたずらを防止する対策についてお伝えし、トイレを大切にする日本人の心の表れとしての「維持・メンテナンス」を考えます。

  • 城見橋公園公共トイレ(岡山県高梁市)

  • 通路 トイレ入り口前に屋根付きの通路を設置。

  • 出典:「2010年度 某公立小学校での調査」
    TOTO調査

詳しい内容は、
情報誌「おもてなしトイレ通信」で!

おもてなしトイレ通信

観光地に求められる「おもてなしトイレ」について詳しく知りたい方は、COM-ET(コメット)から情報誌「おもてなしトイレ通信」をお取り寄せください(無料)。PDFもダウンロードできます。

バックナンバー

  • Vol.1 飲食店特集
  • Vol.2 おもてなしトイレ特集
  • 特別号 おもてなしトイレ特集(取り組み事例紹介)
  • Vol.3 宿泊施設特集

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