おもてなしトイレに求められる5つのキーワード
観光地に続々誕生するおもてなしトイレ
数多くの観光トイレの調査や利用者アンケートを進めていく中で、「使いやすいトイレ」「きれいなトイレ」「快適なトイレ」の法則性が明らかになりました。ここでは、観光地などの「おもてなしトイレ」に求められる5つのキーワードをベースに、これからのあるべきトイレの姿を探ってまいります。
洋式化
トイレの洋式化は、おもてなしへの第一歩。もはや世界標準の前提条件と言ってもよい課題であり、トイレを使えない人をいつまでも残しておくわけにはいきません。ここでは「和式トイレをやめ、洋式化を急ぐべき3つの理由」を大きく掲げ、実証データやアンケート調査に基づいて解き明かします。
1. 和式は外国人が使えない
外国人が日本の公共トイレで困ったことをお聞きしました。和式トイレ経験のない欧米人はもちろん、ムスリムやアジアの方も困っている実態が明らかになりました。
●外国人が訪日当初、日本のトイレで困ったこと
2. 和式は高齢者が使えない
自分から積極的に外出する高齢者でも、脚や足を動かすのがつらいという人は73%。洋式便器を利用するのは、避けようのない身体的理由からなのです。
●高齢者が腰掛便器を使う理由(自由記入)
3. 和式は菌だらけで汚い
和式便器を残した結果、多くの大腸菌がトイレ内の床や入り口付近まで拡散しています。この菌は食堂や調理施設に持ち込まれる可能性もあるのです。
●トイレ内糞便由来菌汚染度(大腸菌数CFU/cm2)
ウォシュレット®
※「ウォシュレット」はTOTO株式会社の登録商標です。
日本のおもてなしの心をそのまま製品化したともいえる「ウォシュレット」は、技術立国日本が世界に誇る先進技術の一つです。ここでは兵庫県の有馬温泉に新築された旅館風のおもてなしトイレの事例と、「ウォシュレット」を短期間で飛躍的に普及させた「和歌山県おもてなしトイレ大作戦」の事例をご紹介します。
全数「ウォシュレット」を完備した太閤橋おもてなしトイレ
日本三古湯の一つとして知られる有馬温泉に建てられた「太閤橋おもてなしトイレ」の事例です。女性トイレは用足しから手洗いまでがブース内で行える個室完結型で、大便器は男女とも節水型便器とエコリモコン搭載「ウォシュレット」を採用。周囲の風景に溶け込み、おもてなし感覚にあふれています。
2年で20倍の「ウォシュレット」普及率!和歌山県おもてなしトイレ大作戦
和歌山県おもてなしトイレ大作戦」と称し、観光客向けに公共のトイレを整備してきた和歌山県。「洋式を入れる場合、温水洗浄便座にする」という整備基準によって、わずか2年で洋式率を20倍にまで高め、「ウォシュレット」を急速に普及させた先進的な取り組み事例をご紹介します。
●改修実績 | 洋式率(温水洗浄便座あり)
●和歌山県内トイレの改修事例
多機能トイレ
2020年の東京パラリンピックでの期待が高まる車いすバスケ日本女子代表の萩野さん。海外や日本各地の遠征が続く中、トップアスリートが日頃感じているトイレについて伺いました。「多機能トイレに必須なのは、安心して使える手すり」。利用者の視点から多機能トイレのあり方を伺いました。
萩野真世(はぎの・まよ)さん
1993年3月9日生まれ。
宮城県仙台市出身。持ち点1.5。
宮城マックス・スクラッチ所属。
車いす利用者が便器に移乗する方法は、身体状況によってもさまざま。多機能トイレに求められるのは、多様なアプローチへの配慮です。
多言語対応
毎年のように増え続ける訪日外国人旅行者の快適な観光に向けて、各地で環境整備が進んでいます。トイレも、言葉の壁を乗り越え、より多くの人の「わかりやすさ」「使いやすさ」のために、できることから実現していきたいものです。トイレ操作パネルの標準ピクトグラムのことにも触れていきます。
維持・メンテナンス
トイレがきれいであれば、施設全体のイメージアップに直結します。公共トイレを野外に設置する場合の、きれいを維持する設計ポイントの他、トイレ器具でできるトラブルやいたずらを防止する対策についてお伝えし、トイレを大切にする日本人の心の表れとしての「維持・メンテナンス」を考えます。
詳しい内容は、
情報誌「おもてなしトイレ通信」で!
観光地に求められる「おもてなしトイレ」について詳しく知りたい方は、COM-ET(コメット)から情報誌「おもてなしトイレ通信」をお取り寄せください(無料)。PDFもダウンロードできます。
バックナンバー
- Vol.1 飲食店特集
- Vol.2 おもてなしトイレ特集
- 特別号 おもてなしトイレ特集(取り組み事例紹介)
- Vol.3 宿泊施設特集