TOTO
都市のエージェントはだれなのか
 
都市のエージェントはだれなのか
近世/近代/現代 パリ/ニューヨーク/東京
TOTO建築叢書6
著者=北山 恒
発行年月=2015年8月
体裁=四六判(188×128mm)、並製、212頁
ISBN=978-4-88706-352-5

ブックデザイン=中島英樹(中島デザイン)

定価1,650円(本体1,500円+税10%)
建築家、北山恒氏による骨太の都市論・建築論
TOTO出版は、『都市のエージェントはだれなのか――近世/近代/現代 パリ/ニューヨーク/東京』を2015年8月10日に発行しました。

一体、だれがこの都市の在り様を決めているのか?――都市はだれによってどのようにして形成されてきたのか、またそこで求められてきた建築とは?
都市は自然発生的に形成されたものではなく、何らかの偏在する大きな権力によって、また何らかの意図をもって、人為的に形づくられたものである。このことを近世のパリ、近代のニューヨーク、現代の東京の都市の成り立ちから比較検証することで、その時代、その都市や建築を生産してきた「エージェント」がだれなのかを考察していきます。

第1部では、パリ、ニューヨーク、東京という異なる3つの都市で起きた出来事を例にとり、その成り立ちを政治や経済、社会制度を紐解きながら考察することにより、北山恒氏の考えるこの先の建築の在り方を、都市との関係性の中から論考します。
第2部では、自身の作品を解説しながら、現前する社会問題を抱えながらも、新たな住まい方や都市・建築の在り方を提案してきた北山氏の実践を通して東京という都市の可能性を探っていきます。

北山氏は、建築家として数々のプロジェクトに携わる傍ら、横浜国立大学に2007年に設立された、都市をテーマとする新しい形の大学院Y−GSAにて教鞭を執られるなど、長年にわたる実務と研究の双方から、単体の都市論ではなく建築にまで落とし込まれた独自の都市論を展開してこられました。

設計に携わられている方はもちろん、建築家を志している学生の方、また都市計画や町づくりに携わられている方など、多くの方々に手に取っていただきたい一冊です。
立ち読み
プロフィール
北山 恒 Koh Kitayama
1950年香川県生まれ。横浜国立大学大学院修士課程修了。1978年ワークショップ設立( 共同主宰)を経て、1995年architecture WORKSHOP 設立主宰。2001年横浜国立大学教授。2007年より横浜国立大学大学院/建築都市スクール"Y-GSA"教授。2011年よりY-GSA校長。2010年第12回ヴェネチア・ビエンナーレ建築展日本館コミッショナー。横浜市都心臨海部・インナーハーバー整備構想や、横浜駅周辺地区大改造計画に参画。主な受賞に、日本建築学会賞「洗足の連結住棟」(2010)、日本建築学会作品選奨「白石第二小学校」(共同設計1997)、「公立刈田綜合病院」(共同設計2004)、日本建築家協会賞「公立刈田綜合病院」(共同設計2006)」、「洗足の連結住棟」(2010)、アルカシア賞ゴールドメダル「洗足の連結住棟」(2011)、日本建築学会教育賞(教育貢献2010)など。
目次

目次

はじめに

第Ⅰ部 都市のエージェントはだれなのか

1 近代の黎明
 都市空間という規範
 都市という概念
 近代という規範
 ヨーロッパ文明の覇権

2 ヴェネチア・ビエンナーレⅫから
 都市の公共空間は、人びとを抑圧する権力装置である
 19世紀のパリと20世紀のニューヨーク
 21世紀初頭の東京

3 19世紀のパリ
 階級闘争の都市
 パリは人びとを抑圧する
 19世紀都市のオルタナティブ

4 20世紀のニューヨーク
 資本主義の運動装置
 オフィスビルという建築類型
 現代都市がつくる日常生活
 「マンハッタン・グリッド」というゲーム盤
 「ゾーニング法」というルール
 資本主義がつくる都市
 「近代の吸収」とそれ以降

5 そして東京
 ボイドを含む庭園都市
 1923年の関東大震災
 1945年の東京大空襲
 進駐軍ハウスというプレゼンテーション
 更新する都市モデル
 偏在する多中心都市

6 近代の黄昏
 提案された理念都市モデル
 1968年という切断面
 1989年という切断面
 マーケットとコモンの抗争
 情報の民主化、経済の民主化、そして空間の民主化
 「 新しい人びと」の登場
 3.11を経験してわかったこと

第Ⅱ部 新しいタイポロジーのスタディ

 人間の集合形式
 都市への作法
 街への作法
 機能の分断と混在
 視線の遮断と交錯
 新しい中間集団の創造
 都市のリサイクル
 新しい世界実在のために

あとがき

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