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建築をつくることは未来をつくることである
 
建築をつくることは未来をつくることである
2刷
著者=山本理顕+北山恒+飯田善彦+西沢立衛
発行年月=2007年4月
体裁=190×190mm、並製、256頁
ISBN=978-4-88706-279-5

アートディレクション=秋田寛
デザイン=秋田寛+森田恭行(アキタ・デザイン・カン)

定価2,640円(本体2,400円+税10%)
世の中は建築で変えられる
山本理顕・北山恒・飯田善彦・西沢立衛の4氏は、優れた建築作品をつくり続けている建築家であると同時に、2007年4月に開校したY-GSA(横浜国立大学大学院/建築都市スクール)の初代教授です。同スクールは、従来の日本の建築教育に欠けていた「建築家養成」を主眼として開設された画期的な教育機関であり、その教授として活動を始めた4氏は、現代に必要とされる建築・建築家像について今もっとも洞察を深めている建築家と言えるでしょう。そうした4氏に、現代建築の陥っている問題点の分析から現代建築が進むべき方向性に至るまで、徹底的に語り合っていただきました。

本書の中で山本氏は、「今、未来について語りにくいのは《建築一つつくったくらいで世の中変わるわけないよ》というシニカルな態度を多くの人たちが共有しているからだと思う」と語っています。こうした状況の今こそ、「未来」について建築家が考えることが重要だと、4氏は語ります。「ひどい建築をつくって本当に困るのは、今の人たちよりも未来の人たち、その建築を受け取らざるを得ない人たち」(山本氏)なのです。なぜならば、「実際に建築をつくると、歴史も変わってしまうし、環境も変わってしまう。建築をつくるということは、結果的に与条件すら変えてしまう」(西沢氏)という発言が示すように、どんな建築であっても人々の生活や環境に影響を及ぼす力があり、世の中は建築で変えられる、はずであると4氏は語ります。4氏によって交わされる熱い議論は、デザイン論から教育論、社会システム論に至るまで、多岐にわたります。また本書では、4人の建築家の未来を指向した設計手法についても各々約20ページを使って具体的に紹介しております。

過去・現在・未来の時間軸を横断し、建築の普遍的な価値を探求する新たな時代の建築入門書として、建築学生や若手の建築関係者はもちろんのこと、ものづくりに関わるすべての人々にインスピレーションを与える意欲的な一冊です。
立ち読み
プロフィール
山本理顕 Riken Yamamoto
1945年中国北京市生まれ/1968年日本大学理工学部建築学科卒業/1971年東京芸術大学大学院美術研究科建築専攻修了、東京大学生産技術研究所原研究室研究生/1973年山本理顕設計工場設立/2002年工学院大学教授/現在、Y-GSA(横浜国立大学大学院/建築都市スクール)教授
北山恒 Koh Kitayama
1950年香川県生まれ/1976年横浜国立大学工学部建築学科卒業/1978年ワークショップ共同設立/1980年横浜国立大学大学院修士課程修了/1987年横浜国立大学専任講師/1995年横浜国立大学助教授、architecture WORKSHOP設立/2001年横浜国立大学大学院教授/現在、Y-GSA(横浜国立大学大学院/建築都市スクール)教授
飯田善彦 Yoshihiko Iida
1950年埼玉県生まれ/1973年横浜国立大学工学部建築学科卒業/1974年計画設計工房(谷口吉生、高宮真介)入所/1980年建築計画設立(元倉眞琴と共同)/1986年飯田善彦建築工房設立/現在、Y-GSA(横浜国立大学大学院/建築都市スクール)教授
西沢立衛 Ryue Nishizawa
1966年東京都生まれ/1988年横浜国立大学工学部建築学科卒業/1990年横浜国立大学大学院修士課程修了、妹島和世建築設計事務所入所/1995年妹島和世と共にSANAA設立/1997年西沢立衛建築設計事務所設立/2001年横浜国立大学大学院助教授/2007年よりY-GSA(横浜国立大学大学院/建築都市スクール)教授
コンテンツ

はじめに 山本理顕
未来に接続する建築 三浦丈典

建築をつくることは未来をつくることである

01 今、未来を語るということ
02 革命宣言からマニュフェストへ
03 未来をつくる3つの軸
04 学生たちのシニシズム
05 社会に服従しない建築
06 現在、未来につながる歴史
07 消費を刺激する建築からの脱却
08 地域社会における建築の役割
09 共有された形式を疑う
10 建築には強制力がある
11 新しい共同性の獲得
12 可能性を担保する建築
13 「生活」という視点
14 空間を成立させる根拠
15 身体感覚のもどかしさ
16 形式の提示と生活の提案
17 生活の発見、住宅の発明
18 問題解決の落とし穴
19 コンピュータの中のコミュニティ
20 コミュニケーションのための空間
21 共同体が発するメッセージ
22 脱主体・脱標準へ
23 未来への想像力

西沢立衛
Creating Landscape - Moriyama House

飯田善彦
建築の身体性

山本理顕
集合の形式

北山恒
100人くらいの人間の関係性を創る空間装置

未来に向けて 山本理顕

関連書籍
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著者=山本理顕+山本理顕設計工場 
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著者=北山恒
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著者=妹島和世+西沢立衛/SANAA