いまやトイレになくてはならない温水洗浄便座。
そのなかでも快適さと美しさを追求した「アプリコット」シリーズが2023年8月に一新。
新しくなったパブリック用「アプリコットP」について、開発者に話を聞いた。
── 新しい「アプリコットP」は、従来品とどのような違いがありますか。
庭野● 設置場所のニーズにきめ細かく応えていくため、アプリコットPには大規模施設(※1)向けの「AP2」と飲食店やクリニックなど小規模施設(※2)向けの「AP3」の2タイプをラインアップしました。新商品はフルカバーでクリーンで洗練されたデザイン。従来品に比べてウォシュレット本体が約15mm薄く、凹凸の少ないなめらかなシルエットが特長です。凹凸がないため汚れがたまりにくく、清掃性も向上。座面後方はなだらかに立ち上がり、座面が広くゆったりと座れます。
※1 施設自体に複数のトイレがある、もしくはトイレ1か所あたりの便器の数が多い施設を想定。
※2 建物自体のトイレ数が少なく、かつトイレ1か所あたりの便器の数が少ない施設を想定。
(写真左)新しいアプリコットPは、本体だけでなく便座も薄くなり、スリムなデザインになっている。フルカバー仕様で、AP2AFはセンサー式の便ふた電動開閉、AP3AFはオート開閉により手を触れずに開閉できる品揃え。(写真右上)AP2はシンプルなボタン配置と独立させた便器洗浄ボタンでわかりやすいエコリモコン。(写真右下)AP3はコンパクトなリモコンを採用している。
── 大規模施設向けのAP2にはどのような配慮がされていますか。
庭野● 不特定多数の方が利用するので、誰が使ってもわかりやすく、快適に利用できることを重視しています。バリアフリートイレなどに設置する金属製ベースプレート仕様も品揃えしています。車いすから移乗することも想定してこのタイプは厚さの違う専用便座を取り付けています。機能としては、擬音装置「音姫」付きのほか、おしりをふくことが難しい方のための温風乾燥付きもラインアップしています。またボタンを押すと発電するため、乾電池交換や壁裏の電源工事が不要なエコリモコンを採用し、ご好評いただいています。
── 小規模施設向けのAP3はどのような配慮がされていますか。
庭野● 小規模施設は設置スペースが限られる傾向にあるため、必要な機能を一つに集約したコンパクトなリモコンを採用。またコロナ禍以降の清潔意識の高まりを受けてタッチレス機能を強化。AP3AFにはオート開閉機能を搭載したほか、スマートフォンからのウォシュレット操作も可能にしました。自分のスマートフォンから操作できるので、ほとんどトイレに触らずに用を足せます。
── スマートフォンアプリによるウォシュレット操作の概要を教えてください。
庭野● どなたでも使いやすいようにシンプルな操作にしています。ユーザー登録なども不要です。利用者がアプリを立ち上げて備え付けのラベルを読み取ると、スマートフォンとウォシュレットが接続。ウォシュレット操作が可能になります。ラベルごとに固有のIDを割り振って事前にウォシュレット本体に記憶させているので、隣のトイレにつながって誤作動を起こす心配はありません。通信にはBLE(Bluetooth Low Energy)を利用します。個室を出たり、便座に一定時間着座していないときには、自動的に接続が解除されます。このためスマートフォンとウォシュレットがつながり続けることはなく、いたずらなども予防できます。また、ラベルが汚損した時は簡単に再発行が可能です。
── このアプリは訪日外国人の方も利用できますか。
庭野● 現段階では日本・アメリカ・韓国・中国の4カ国のアプリストアからダウンロードが可能で、日米韓中(簡体)の4か国語表記に対応しています。訪日外国人のなかにはウォシュレット利用に戸惑う方もいます。そのような方に向けて、アプリ内にウォシュレットや操作についての説明もあります。このアプリをきっかけにぜひ日本でウォシュレットを体験していただきたいと考えています。また、TOTO WEBサイトでオーナー、利用者それぞれに向けたサポートも用意しています。
── 今後の抱負をお聞かせください。
庭野● 日本のパブリックトイレは世界に誇れるものになっています。今後はアプリをダウンロードできる対象国を広げて、より多くの訪日外国人の方に快適なウォシュレット体験を提供したいですね。そのためにウォシュレットもアプリももっと進化させていきたいと思います。
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