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能作文徳+常山未央展:都市菌(としきのこ)――複数種の網目としての建築

展覧会コンセプト
都市菌(としきのこ)――複数種の網目としての建築

都市は朽ち始めている
生活はインフラとサービスに依存し、自分の力で修復できない
地表は建物とアスファルトに覆われ、呼吸ができない
乾いた土では食べ物は育たず、水は浄化されない
毎日大量のゴミが捨てられる
建物やインフラを新品に保つ力は衰えている
それでも、賞味期限切れの都市の生命活動は続いていく

いま私たちは野生を取り戻さなくてはいけない
土を嗅ぎ
雨を聴き
風を読み
陽を感じ
心地よい居場所をつくれるように
伝統を知り
技術を学び
小さな負荷でここに暮らせるように

私たちは、建築を大きな網目の中で捉えている
建物は、資源から廃棄までの一時的な結節点だ

都市ではゴミも材料になる
アスファルトを剥がせば、土壌が小さな生産地と分解地になる
太陽熱を使えば、調理が台所から飛び出す
建物を持ち上げれば、そこが生き物の棲家となる
そうやって身の回りの資源、太陽、土、ゴミと生活が絡み合い
複数種の居住域が築かれる

菌(きのこ)が腐敗と再生産の網目に生きるように
能作文徳+常山未央
出展者プロフィール
東京を拠点に活動する建築家、能作文徳と常山未央。現代都市と生態系をテーマに、批評的な建築実践を行っている。

主な作品に「西大井のあな」(東京都)、「不動前ハウス」*1(東京都)、「明野の高床」*2(山梨県)、「杭とトンガリ」(東京都)、「高岡のゲストハウス」*3(富山県)、「氷見移住ヴィレッジ」(富山県)、「秋谷の木組(秋谷スマートハウスE 棟)(神奈川県)など。
主な受賞に、2016年ヴェネチア・ビエンナーレ国際建築展日本館展示 特別表彰、第33回JIA新人賞*2、日本建築学会作品選集新人賞*3など。
(*1:常山未央、*2:能作文徳、*3:能作文徳+能作淳平、他:能作文徳+常山未央)
©Jumpei Suzuki
能作文徳 (のうさく ふみのり) (写真左)
1982年富山県生まれ。2005年東京工業大学卒業。2007年同大学院修士課程修了。2008年Njiric+ Arhitecti(クロアチア)研修。2010年より能作文徳建築設計事務所主宰。2012年博士(工学)取得。2012~18年東京工業大学助教。2018~21年東京電機大学准教授。2023年コロンビア大学特任准教授、ミュンヘン工科大学客員教授。現在、東京都立大学准教授。
常山未央(つねやま みお)(写真右)
1983年神奈川県生まれ。2005年東京理科大学卒業。2005~06年Bonhôte Zapata Architectes(スイス)研修。2006~08年スイス連邦政府給費生。2008年スイス連邦工科大学ローザンヌ校(EPFL)修了。2008~12年HHF Architects(スイス)。2012年mnm設立。2015〜20年東京理科大学助教。2020〜21年同校特別講師。2022~23年EPFL客員教授。2023年コロンビア大学特任准教授。
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著者=能作文徳+常山未央