TOTO
en[縁]:アート・オブ・ネクサス
 
en[縁]:アート・オブ・ネクサス
2刷
編者=山名善之+菱川勢一+内野正樹+篠原雅武
発行年月=2016年4月
体裁=B5判変型(210×168mm)、並製、160頁、和英併記
ISBN=978-4-88706-358-7

デザイン=刈谷悠三+角田奈央/neucitora

定価1,650円(本体1,500円+税10%)
第15回ヴェネチア・ビエンナーレ国際建築展日本館 ガイドブック
TOTO出版は、『en[縁]アート・オブ・ネクサス』を2016年4月25日に発行しました。

本書は、ヴェネチアを舞台に隔年で開催される建築の祭典『第15回ヴェネチア・ビエンナーレ国際建築展』(2016年5月28日~11月27日)において、『en[縁]:アート・オブ・ネクサス』をテーマに展示が行われる日本館のガイドブックです。

プリツカー賞の受賞も記憶に新しい、アレハンドロ・アラヴェナ氏が総合ディレクターとして掲げた、本展の総合テーマは、「Reporting from the Front(前線からの報告)」。これを受け、日本館のキュレーターである山名善之氏(東京理科大学教授)が提示したのは、[縁]という切り口によって、日本の建築界の潮流を「前線」として示そうというものです。具体的には仏教に由来し、【ゆかり/めぐりあわせ/間接的原因】や【へり、ふち】といった多様な意味合いをもつ[縁]をテーマに、"人と人"、"モノとモノ"、"人とモノ"の結び付きといった側面から、現在の日本の建築を取り巻く状況を読み解きます。そして、24名がみな1975年以降生まれという20代後半から40代前半の若い建築家12組の実作を通して、これからの家族やコミュニティーのあり方を模索します。

本書では、こうした展示テーマに沿って、人、モノ、地域の縁という3つの[縁]を柱に、12組の作品を写真や図面、作品解説、そして建築家へのインタビューによって紹介します。また、巻頭では山名氏による日本館のテーマに対するステートメント、制作委員の篠原雅武氏による「縁の空間論」と題した論文を、巻末には筑波大学准教授の佐藤嘉幸氏による、日本館のテーマの背景となっている社会学の視点からの建築を取り巻く現在性の論考を収録し、ここに日本の建築の前線があることを示します。

20世紀の経済成長モデルが終焉を迎え、低成長時代の中にあって、大きな物語りが描きにくくなった現在、建築家の果たすべき行動とはどうあるべきなのか。本書は、今そうした時代の中で建築をつくろうとする、まさに前線にいる若い世代の活動を鮮やかに提示する一冊となっています。
立ち読み
編者プロフィール
山名善之 Yoshiyuki Yamana
東京理科大学理工学部建築学科教授。フランス政府公認建築家DPLG、博士(美術史)
1966年東京都文京区生まれ。1990年東京理科大学卒業。香山アトリエ/環境造形研究所、パリ・ベルヴィル建築学校DPLG課程(フランス政府給費留学生)、パリ大学パンテオン・ソルボンヌ校博士課程。アンリ・シリニア・アトリエ(パリ・文化庁在外派遣芸術家研修員)、ナント建築大学契約講師等を経て、2002年より東京理科大学勤務。
菱川勢一 Seiichi Hishikawa
クリエイティブディレクター、映像作家/写真家、DRAWING AND MANUALファウンダー、武蔵野美術大学教授
1969年東京生まれ。レコード会社、家電メーカー宣伝部、海外音楽チャンネル番組制作、ハリウッド映画予告編制作など多岐にわたる経験を持ち、TVCMやミュージックビデオの映像監督、企業ブランディングやWebサイトのアートディレクター、ファッションやイベントなどの舞台監督を歴任。ニューヨークADC賞、ロンドン国際広報賞など国際的な受賞多数。2011年に監督を務めたNTTドコモのCM「森の木琴」がカンヌライオンズにて三冠を受賞。
内野正樹 Masaki Uchino
エディター
1960年静岡県生まれ。雑誌『建築文化』で、ル・コルビュジエ、ミース・ファン・デル・ローエら巨匠の全冊特集を企画・編集するほか、映画や思想、美術等、他ジャンルと建築との接点を探る特集も手がける。同誌編集長を経て、『DETAIL JAPAN』を創刊。現在、ecrimageを主宰。著書に『一流建築家のデザインとその現場』、『表参道を歩いてわかる現代建築』(以上、共著)、『パリ建築散歩』(大和書房、2014)がある。
篠原雅武 Masatake Shinohara
大阪大学国際公共政策研究科特任准教授、京都大学人文科学研究所非常勤講師、博士(人間・環境学)
1975年神奈川県生まれ。1999年京都大学総合人間学部卒業。2007年京都大学大学院人間・環境学研究科博士課程修了。2012年より、大阪大学公共政策研究科特任准教授。著書として、『公共空間の政治理論』(人文書院、2007)、『空間のために:遍在化するスラム的世界のなかで』(以文社、2011)、『全- 生活論:転形期の公共空間』(以文社、2012)、『生きられたニュータウン:未来空間の哲学』(青土社、2015)
目次

en[縁]:アート・オブ・ネクサス|山名善之
縁の空間論|篠原雅武

人の縁

不動前ハウス|常山未央/mnm
ヨコハマアパートメント|西田司+中川エリカ
LT城西|成瀬・猪熊建築設計事務所
食堂付きアパート|仲建築設計スタジオ

モノの縁

高岡のゲストハウス|能作アーキテクツ
駒沢公園の家|今村水紀+篠原勲/miCo.
15Aの家|レビ設計室
躯体の窓|増田信吾+大坪克亘
渥美の床 他|403architecture[dajiba]
調布の家|青木弘司建築設計事務所

地域の縁

神山町プロジェクト|BUS
馬木キャンプ|美井戸神社|ドットアーキテクツ
展示デザイン|teco

新自由主義へのミクロな抵抗|佐藤嘉幸
プロフィール

クレジット

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