トイレはリフレッシュスペース

 実際に見学すると、なんといっても目を引くのが、トイレ内とは思えないほど豊かな緑。しかもフェイクではなく本物の植栽だ。一部を除いて大半のトイレは開口部に面し、外光も入るので、リフレッシュ効果は満点。
 こうした緑あふれる環境づくりは店全体の計画と連動したもので、とくにトイレは混雑時に並ぶことも予想されるため、観賞用の植物は重要なポイントだったようだ。各トイレの入り口付近にはホールのような広いスペースがあり、植栽だけでなく姿見もずらりと並んでいる。
 環境デザインに携わったエイムクリエイツの吉田早苗さんによれば、「待っているあいだに少しでもお客さまの目を楽しませ、次もまた来ようと思っていただきたいという『おもてなし』の空間です」とのこと。伊藤さんも「ぜひトイレだけでも立ち寄ってほしい。販促の一環です」と言い切る。
 各階のトイレを順に見ていくと、売り場に合わせて内装も少しずつ変えてあるのがわかる。設計を担当した石本建築事務所の井川明彦さんによれば、低層階は白を基調にしたカジュアルなテイスト、上層階に行くほど落ち着いたブラウン系でまとめただけでなく、利用客が多い低層階はブースの個数を増やし、上層階は個数を減らして広さにゆとりをもたせるなど、きめ細かく変更したという。

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