欧州中央銀行やドイツ銀行などの本店が置かれているヨーロッパ経済の中心的都市フランクフルト。ここは見本市を数多く開く街として古くから知られている。「フランクフルト書籍見本市」など年間約50の多種多様な見本市が開催されている。
　そのなかで50年の歴史を誇るISH（International Sanitary and Heating:国際衛生設備・冷暖房設備専門見本市）が、3月10日から14日まで開催された。ISHは2年に一度開催される衛生・厨房・空調をテーマとした世界最大の国際展示会で、歴史的な経済危機にもかかわらず、58以上の国と地域から2361社・団体の出展者と20万人を超す来場者を今年も集めた。会場は盛況で、再生可能なエネルギーの効率的活用、CO2削減、水資源の有効利用など、環境に配慮した商品が数多く見られた。また、バスルーム・エクスペリアンスでは、近年流行しているシンプルで丁寧なディテールに磨きがかかった浴槽や、手に持ってもしっくりと収まり水流もきめ細かくなったシャワーなど、ヨーロッパの豊かなデザイン性が印象的であった。
　このなかで異彩を放っていたのがTOTOブースである。TOTOは水まわり総合メーカーとして日本から初出展したことでも注目されたが、それだけではなく、ストーリーをもたせた動線で、TOTOの歴史、水まわり空間のイメージ、高い技術性をじっくりと見せる構成になっていて、ほかの展示ブースのように商品を羅列する方法と違った強いメッセージ性を表していた。