特集2/ケーススタディ

軽やかさを生む架構

 パッシブというとまず断熱。重量感たっぷりの屋根。分厚い壁体。見るからに重装備の開口部。こう想像して相模原の住宅を見に行くと裏切られる。
 まことに軽やか。断熱などはなから考えず、酷暑を乗り切るためにもっぱら風通しを主眼につくられた伝統的な日本の家屋と同様の軽やかさ、スケール感をもっている。
 こうした軽やかさはどこからくるのだろう。
 ひとつは架構。地上2階部分は中量鉄骨造である。重量鉄骨の粗暴さ、軽量鉄骨のいささかの頼りなさ、どちらとも無縁。メインの梁でもH型鋼の高さは25~30㎝。居間・食堂の天井に露出して架かるサブの梁は、張力の流れをそのまま表しているような繊細な姿かたちのハブマイヤートラス。2階分の階高が4.74mととても低く抑えられていることもあって、架構の存在が突出してしまわず、二次部材とのなじみがよい。
 スケルトン(架構)とシェルター(皮膜)という構成が意識されると、とかく前者が勝ち、住宅のスケールとしては過大な存在感が生まれてしまう例が多いが、ここでは障子と鉄骨の梁が隣接していても違和感がまったくない。

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