2022年8月23日
#洗面プロモーション
TOTOの「オクターブ」は、機能と衛生性、清掃性に優れる洗面化粧台として幅広いお客様から人気の商品です。発売以来、寄せられてきたお客様の声をもとに、2022年8月、今の暮らしにさらに寄り添う形にフルモデルチェンジ。デザインや清掃性、使いやすさのブラッシュアップなどの課題に取り組んできた、佐藤望さんに開発の経緯や商品の魅力などについてうかがいました。
※ 撮影時のみマスクを外しています
オクターブ 開発担当 洗面開発グループ
佐藤 望 さん
北海道大学大学院生命科学院で生物工学を専攻。2020年に入社後、洗面化粧台のカウンター開発担当として新商品開発業務に携わる。
リニューアルしたオクターブは、照明カバー、ちょい置きカウンター、取っ手をステンレス調カラーで統一し、洗練された上質なデザインを演出。タッチレスやちょい置きカウンターなどの機能面においても充実している
従来のオクターブからどのように進化しているのでしょうか?
もともとオクターブは、物の一時置きに便利な棚や、レバーに触れずに吐水する自動水栓など、機能性に優れており、使い勝手のよさを求めるお客様に選んでいただける商品でした。しかし、アンケート調査などではご満足という声のほか、一部のお客様から「洗顔のときに一時物置きの棚に頭がぶつかりそうで気になる」、「棚に置いた物が水で濡れてしまいそう」というご意見も挙がっていました。開発に取り掛かり、これらの改善がよりよいオクターブに結び付くのではないかと考えました。
それが今回実現した「ちょい置きカウンター」、「ひろびろ設計のボウル」と「タッチレスお掃除ラクラク水栓(自動吐水)」ですね。
はい。ちょい置きカウンターはメガネなどの小物を置けるほか、スマートフォンを立てかけられるように設計したので、洗面化粧台の前で身支度しながら予定をチェックできます。アンケートにも挙がったようにこの棚が邪魔に感じられるようでは本末転倒ですから、開発にあたってはモニター調査を実施。人によっては200回以上の洗顔を行ってもらいました。そのようにして、洗顔やお掃除などの行為や作業にさしさわりのない位置はどこなのか、探っていきました。私はいまでも自宅や出先で顔や手を洗うとき、つい自分の動きと洗面化粧台の棚やボウルの寸法を視野に入れつつ、使い勝手を確かめてしまいます。職業病のようなものですね(笑)。
手洗いや洗顔のときにメガネなどの小物を置ける、ちょい置きカウンター。身支度しながらスマートフォンで天気予報や予定をチェック
水栓を高めの位置に変更してボウルの形状も改良。作業空間を広げて、より使いやすくした
佐藤さんは主にどの部分を担当されましたか?
今回の開発の現場では、洗面化粧台のパーツごとにメンバーが割り振られて、各チームと内容をすり合わせながらひとつの形にまとめていきました。私は洗面ボウルとカウンターを担当しました。デザインの担当者とやり取りしながらパソコンで3Dモデルに起こして強度などを解析する役割です。
洗面ボウルとカウンターでは、どのようなことがテーマになりましたか?
お客様の作業空間を広くして、使い勝手をよりよくするということです。開発の初期にお客様に洗面化粧台の使い勝手についてヒアリングしたのですが、ボウルの形状や寸法をほんの少し変更するだけでかなり使用感が違ってくるんですね。試行錯誤した結果、手前側のフチにちょっと丸みを付け、両サイドの傾斜を強めることでボウルの深さや広がりを感じられるようにしました。
ずいぶん細かいところまでこだわったのですね。
今回のちょい置きカウンターとタッチレスお掃除ラクラク水栓(自動吐水)は一体になっています。棚と水栓を従来品より高い位置にすることで、水がかかりにくく、また洗顔などの行為をしやすくしたわけですが、そのために洗面化粧台全体の内部の構造をいちから見直して、構造部品をコンパクトに収めました。結果としてカウンター背面の立ち上がり壁の厚みを半減でき、作業空間をひろびろとすることも実現できました。何度も何度も解析にかけて設計を見直して、本当に終わるのだろうかと一瞬思うこともありましたが(笑)、期限までにベストの答えを出すのが私たちの仕事と励まし合い、メンバー一丸となって取り組みました。
新しいオクターブはすっきりと見えますね。
毎日使うものですから、使い勝手はもちろん、意匠的にもいいものにするのも大きな目標でした。先ほどお話しした、構造を見直して本体をスリムにすることもそこにつながっています。洗面化粧台は一般的にカウンター、鏡、収納などいくつもの異素材のユニットで構成されていますが、そのつなぎ目の段差やすき間を減らして一体感が出るようにしています。
フラットなデザインですとお掃除もしやすそうです。
実家に電話していると自然に仕事の話題になるのですが、親から「やっぱり掃除しやすいのがいいねえ」などと言われると、「そうだよなあ」とあらためて実感しますね。いちばん身近なモニター調査です(笑)。
高級感も感じます。
照明カバー、ちょい置きカウンター、キャビネットの取っ手などを温かみのあるステンレス調カラーでコーディネートしました。洗面空間は白が基調になることが多いのですが、膨大なカラーサンプルの中から、室内のドアノブなどの金属部材とマッチし、なおかつ冷たい印象を与えない色を選び抜きました。目指したのは、ただ手を洗うだけではなく、インテリア性も兼ね備えた商品。空間のアクセントになるとともに柔らかく洗練された上品さが感じられるように仕上げました。
照明、カウンター、取っ手などに絞ってステンレス調カラーを採用したことで、ほどよくシャープな印象を演出した
開発にあたってどのような苦労がありましたか?
従来のオクターブも人気のある商品でした。ひとつの正解として商品化されたものを再度見直して、さらにグレードアップさせるのはやりがいがある一方、やはり大変でした。私自身は入社3年目で、まだ開発の経験も浅いので…。でも当社には長年に渡る製品開発の技術の蓄積がありますから、他のメンバーと話し合いながら、「こういうアプローチもあるんじゃない?」とアドバイスをもらったりして、なんとか乗り切りました。試行錯誤はありましたが、最終的に今現在の私たちがご提供できる最良の形にたどりつけたと確信しています。
前機種を発売した2018年と比べて、社会の価値観や私たちのライフスタイルも変化しています。そうした点も反映されているんですね。
もともと照明と水栓のタッチレス化は、想定していたのですが、コロナ禍で大きく加速しました。清潔性に対するニーズはとくに高まっていますね。
実際に商品が形になって、どのような手ごたえを感じていますか?
入社して3Dモデルの作成や解析技術などをいちから学んで仕事に取り組んでいます。パソコンの中にしかなかったものが、こうして具現化するというのは面白いですし、お客様の生活の役に立てているという喜びも大きいものですね。当社には独自の技術がたくさんあるので、これからも「あれは私が手がけた」と言える、自慢できるような商品をたくさんつくっていきたいと思っています。
編集後記
手を洗い清潔を保つ、という行為の大切さが見直されている昨今、洗面化粧台に行く回数が増えた、という方は多いのではないでしょうか。新しい生活様式を、楽しく、気軽に続けられる強い味方が、機能と好みのデザイン性を兼ね備えた洗面化粧台、とも言えるかもしれません。新たな生活様式に向け必要とされる多様な要素は、開発者の方々を含む多くの人の手によって、迅速に一つの形にまとめられた…、そのひたむきな努力の様子が、佐藤さんの言葉からひしひしと伝わるインタビューでした。
編集者 介川 亜紀
取材・文/渡辺 圭彦 写真/後藤 徹雄 動画/(株)ゼネラルアサヒ 構成/介川 亜紀 2022年8月23日掲載
※『快適はヒトの手から~開発ストーリー~』の記事内容は、掲載時点での情報です。
次回予告
第3回は、「美しい」「使いやすい」「きれい」がさらに進化したシステムキッチン「ザ・クラッソ」。“ノイズレスデザイン”をベースにさまざまな空間やライフスタイルを実現するための商品開発について開発者とデザイナーにお話を伺います。
2022年10月11日公開予定。共有する
お気に入りに保存しました
マイページにログインすると メモやラベルを追加できます。