


日本館
「循環」をコンセプトとしたパビリオン。無数の木の板(国産杉のCLT)が円環を形づくるほかに類を見ない構造で、建築でも「いのちのリレー」体現している。CLTは解体後の再利用を前提としており、循環の一部を成す。板と板のあいだに設けた隙間、展示空間の中と外とをゆるやかにつなぐ役割も果たしている。
01:オストメイト対応ブースは広めのスペースを確保。放射線状のCLTを生かしつつ多様なスペースを捻出するため、強度に影響しない壁を一部くりぬくなど工夫を重ねた。





06:CLTが放射状に取り囲む設計をトイレブースにも生かしており、板の合間のガラスから差し込む光が空間をやわらかく彩っている。砂利を敷いた床もアクセントになっている。

日本館では誰にとっても快適な施設を目指して、設計に「当事者参加型」のアプローチを取り入れています。障がい者、高齢者、性的マイノリティなど、多様な背景を持つ人々が参加するワークショップを設計・施工の各段階で合わせて10回近く開催し、その声を建物に反映したそうです。
「ガイドラインの数値的な基準をクリアしても、現実のバリアがなくなるわけではありません。当事者と皆様との対話を通じて新たな気付きを得られればと考えて企画しました」。国土交通省近畿地方整備局の前野安季さんはこう話します。
その考えは、トイレにも反映されています。館内には個室型トイレ(男女共用)と従来型の男女トイレをそれぞれ設置。個室型トイレはブースごとに広さや設備を変え、機能を分散させて混雑緩和を図りました。設計チーフを務めた日建設計の高橋秀通さんは「ある人への援助が、別の人にはバリアになるケースもあります。最適な解を見出すには、当事者との対話が不可欠でした」と振り返ります。
「例えば点字ブロックは車いすユーザーには不便な側面もあります。そこで今回は視覚障がい者の方の意見をもとに、トイレ前の点字ブロックなしでも移動や空間把握をしやすいように、レイアウトや設備を見直しています。トイレは壁伝いに一周すれば位置がわかるようになっています——」と話します。
当事者との対話から生まれた日本館は、新しいユニバーサルデザインの形を示しています。

| 名 称 | 大阪・関西万博 日本館 |
| 所 在 地 | 大阪府大阪市此花区夢洲東1丁目 |
| 発 注 者 | 経済産業省(展示・バイオガスプラント工事) 国土交通省近畿地方整備局(建築本体工事) |
| 設 計 | 日建設計(基本設計/実施設計/監理) |
| 施 工 | 清水建設 |
| 構 造 | 鉄骨造(CLTと鉄骨が複合された構造) |
| 延床面積 | 約11000㎡ |
| 竣工(改修) | 2025年2月 |
| パブリック向けウォシュレット一体形便器 CES9251M | 自動洗浄小便器(低リップ・自己発電) UFS900WR |
| ベッセル式洗面器 LS705 | 台付自動水栓 TLE26SL1A |
| 自動水石けん供給栓 TLK07S12JA | コンパクトオストメイトパック UAS8系 |
| フィッティングボード YKA41R |


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