ユニットバスルームのパイオニアであるTOTOが、
28年ぶりにホテル向けユニットバスルームをフルモデルチェンジしました。
新商品のVN/VPについて、企画から発売まで携わった担当者に話を聞きました。
デザイン性の高さと使い勝手の良さを追求
── 28年ぶりにホテル向けユニットバスルームを一新しました。見直しの背景をお聞かせください。
山田●TOTOが1964年に初代ユニットバスルームを開発して以来、ホテルのあり方は大きく変化してきました。現在はホテルごとに独自の世界観を持っており、ロビーから客室まで一体感を持たせたデザインが重視されます。この流れに対応していくため、新しいVN/VPではデザインバリエーションを充実させました。もう一つは、バリアフリーの充実です。東京都や大阪府などの自治体では、条例で宿泊施設に一定のバリアフリー基準を設けており、例えば、ドアの開口部や許容される段差などが細かく決まっています。今回はこうした基準をクリアできるよう、躯体を改良しています。
── デザイン面の変化を具体的に教えてください。
山田●従来はアイボリー調が中心でしたが、近年のユニットバスルームの傾向を捉え直し、シックなダーク系と、ナチュラル系の2タイプでバリエーションを揃えました。特に、ユニットバスルーム正面に見えるデザインパネルは浴室全体の印象を左右する部分ですので、バリエーションを広げて合計19柄から選んでいただけるようにしています。なかでもツヤを消したマット系の壁柄はこれまで特注対応とされてきましたが、今回は標準の壁柄として追加しています。スタイリッシュな雰囲気にも、明るい雰囲気にも合わせられます。
── 躯体にはどのような変更があったのでしょうか。
山田●ユニットバスルームの開口部を広げて段差を15mmとするなど、地域のバリアフリー条例にも対応させました。また、ユニットバスルームは窮屈だという印象を変えていけるように、浴槽の内寸を縦横ともに広げました。近年インバウンドのお客様が増えたこともあり、体格の良い方のご利用も考慮しています。背中を広い面で支えるので、安定した入浴姿勢をとることができるのもこの浴槽の特長です。
リモデルしやすい3分割構造
清掃性の向上にもメリット
── ホテルの場合、短時間で丁寧な清掃が求められます。お手入れしやすさに改善はありますか。
山田●従来タイプの排水口は洗面ボウルの下にあり、清掃スタッフが洗面ボウルの下に潜り込まなければ掃除ができないため、大きな負担になっていました。そこで新しいVN/VPでは排水口の位置を浴槽の中央部に移動し、さらに排水トラップは凹凸が少なく、汚れが落としやすい形状に変更。お手入れがぐっとしやすくなり、清掃時間の短縮にもつながるのではないかと期待しています。
── リモデルを想定した工夫は。
山田●より効率的に組立できるよう、ユニットバス本体を浴槽とエプロン、床パンを分割する3分割構造を採用しています。浴槽はもちろん床も分割して搬入・設置できるので、条件が合えば客室側の間仕切り壁を撤去することなく工事できます。加えて、トイレや水栓、シャワーなどに節水・省エネ機器を採用しており、リモデルによるランニングコストの削減も期待できます。
── 今後の展望をお聞かせください。
山田●VN/VPは、ビジネスホテルやシティホテルなど幅広い宿泊施設で採用されています。ビジネスパーソンやインバウンドを含めた観光客など、より多くの方にTOTOの製品を使っていただき、機能性や使い勝手の良さを知っていただく絶好の機会になると思っています。今後も、快適でホテルの魅力を高めるようなユニットバスルームを目指していきます。
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