株式会社ガスター
1959年創業。ガス機器の開発・製造を手がけ、1965 年にバランス型風呂釜を発表。銭湯が主流だった時代に「内ぶろ文化」の普及に貢献。現在は高効率給湯器や給湯暖房熱源機、家庭用燃料電池などを製造している。
株式会社ガスターでは2018年から、本社工場や事務棟のトイレ改修を進めています。「前回トイレを更新したのは約20年前。機器の老朽化が進んでいるうえ、和式便器が全体の半数程度を占め、使い勝手にやや難がありました。工場全体でトイレの洋式化を進めることも改修の狙いでした」。設備管理係の大里幸司さんは、こう説明します。
一連の改修では「工場で働く人が満足できるトイレにしたい」と考え、女性従業員を対象としたアンケート調査を実施しました。「実際にどれだけの従業員が洋式トイレを希望しているかの実態を掴むことが目的でした。結果、利用者の9割近くが洋式トイレを希望しており、和式便器のみを使うという意見は少数でした。また、男性従業員からも洋式便器設置を要望する声が多く上がりました。このような従業員の意見をトイレ改修計画に反映し、洋式化を進めました」
改修によるコスト削減効果も重視したそうです。設備管理係長の橋本純さんは「今回採用したパブリックコンパクト便器・フラッシュタンク式(以下、フラッシュタンク式)は、便器の洗浄に井戸水が使用できます。工場で利用している井戸水をトイレでも使用することで、ランニングコストが削減できる点も考慮しました」と、選定の理由を説明します。
加えてフラッシュタンク式の施工性の高さも、採用のポイントとなりました。「トイレの工事ができるのは、工場が操業を停止する年2回の長期休暇のタイミングしかありません。限られた日程で工事を完了させるうえで、施工効率の良さは重要です」。設計・施工を担当したいづみ建装代表取締役の鈴木隆さんはこう話します。
見直したのはトイレばかりではありません。改修では水栓の自動化も進めています。生産技術部長の木村晃太郎さんは「もともと、衛生性と利便性向上のためにすべてのトイレで自動水栓を導入する予定でした。コロナ禍で感染症対策の強化が必要となり、計画を前倒しして自動化を推し進めています」と力を込めます。
工場内のトイレでは身だしなみへの配慮も徹底しています。洗面台の鏡に加えて、トイレの出入り口にも全身鏡を設置して、身だしなみチェックを意識づけているそうです。「シャツの裾が作業服からはみ出していたり、長い髪の毛をおろしたままにしておくと機械に巻き込まれるなど事故の要因になります。正しい身だしなみを学ぶ講習を全従業員が受講し、トイレの都度、身だしなみを点検することも徹底しています」と大里さん。
従業員の声を取り入れたトイレ改修は、従業員満足度の向上にもつながっています。食堂に設置された「ご意見ポスト」には「トイレをきれいにしてくれてありがとうございます」との感謝の声が寄せられました。木村さんはこう話します。「ものづくりを担うのは〝人〟です。従業員一人ひとりが意欲を持って働けるように、環境整備に取り組んでいきます」
名 称 | 株式会社ガスター本社工場・事務棟 |
所在地 | 神奈川県大和市深見台3-4 |
施 主 | 株式会社ガスター |
設 計 | 有限会社いづみ建装 |
施 工 | 有限会社いづみ建装 |
竣工年月 | 2021年8月(事務棟2Fトイレ) |
パブリックコンパクト便器・フラッシュタンク式 CFS497BM | ウォシュレットP TCF586AR |
マーブライトカウンターボウル一体タイプ MC55/MC50 | 自動水栓 TENA50A |
小型電気温水器 REW12A1BHSCM | 壁掛小便器 UFH500 |
小便器自動フラッシュバルブ TEA62ADS | 小便器下床材 ハイドロセラ・フロアPU AB680BR |
コンパクト多機能トイレパック UADA系 | ウォシュレットアプリコットP TCF5840AUPR |
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