株式会社いわきゅう
1967年創業。静岡県や愛知県を中心に弁当や給食サービスを手がける。主力の日配弁当では1日12万食以上を届けている。幼稚園や病院、高齢者施設への給食なども提供している。
浜松南工場で調理している高齢者食の例。
調理済みの食事を真空包装してチルドで届ける。
高齢者施設で提供する食事には厳格な衛生管理が求められます。その要求をクリアしながら、毎日おいしい食事を高齢者施設へ届けているのが、東海地方を中心に弁当や給食サービスを手がける株式会社いわきゅうです。
セントラルキッチン方式で、厨房から高齢者施設へ食事を届ける委託事業の拡大を見込んで、浜松南工場を改修。2021年1月から稼働を開始しています。この工場は食品安全の国際規格ISO22000認証を取得しており、衛生管理のガイドラインHACCP(ハサップ)にも対応。
衛生管理対策の一環として、トイレ環境の改善にも力を入れたそうです。まずはトイレの「箇所数」を増やすことに取り組みました。改修前のトイレは男女合わせて2箇所でしたが、改修後は4箇所に増設しました。
委託事業を率いるいわきゅう未来事業部統括の立花普さんは「浜松南工場では、今後の事業拡大に伴って従業員数が増えることを想定しています。そこで従業員がトイレの混雑で困らないように配慮しました。限られた休息時間にスムーズにトイレを利用できることは従業員満足度にもつながると考えています」と説明します。
浜松南工場では作業内容に合わせてフロアごとの衛生管理レベルに強弱をつけています。
1階では通常のお惣菜調理と同様の製造ラインですが、2階では介護食に対応したゼリー食など細菌繁殖に特別な配慮が必要な調理も担います。そのため、2階では入り口から最も遠い場所に無菌状態で作業できる部屋を設置し、減圧レベルを高めるなど徹底した対策を取っています。
トイレもそれに伴った配慮がされています。調理実務に通じた未来事業部献立栄養課長の岡本あい子さんは「1階、2階では従業員の行き来は原則行わず、トイレも共用しません。細菌などを持ち込むリスクを最小化しています」と話します。
さらに動線にも配慮が光ります。1階、2階ともに調理室からトイレへの移動は一方通行になっており、再入室の際には手洗いやエアシャワーを行わなければ調理室に入れない仕組みにしています。2階ではさらに、調理室から更衣室、トイレへの移動経路は可能な限り短くして移動の効率化を図っている点も特長です。
加えてトイレに入る際は作業着を脱いで利用するほか、足元は調理用の長靴から室内履きへ、さらにトイレスリッパへと2回履き替えることで、汚れを持ち出さないよう徹底しています。
手洗いにも細心の注意を払っています。各調理室に手洗器を設けて、作業したり部屋を出入りするたびに手を洗っていますが、トイレの利用後はさらに頻回に手を洗います。トイレの利用後に手洗いをして、着替えを終えたら再入室の前に手を洗い、エアシャワーで全身のほこりを払ったうえで、さらに調理室内で洗う……という手順を徹底しています。「調理室に入室する前の手洗器の隣に非接触のストップウォッチを設置して、30秒の手洗いルールを遵守しています」と岡本さんが教えてくれました。
加えて、浜松南工場ではトイレに向かうドアや水栓はすべて自動化しています。立花さんは「トイレや更衣室はドアと水栓をセットで自動化して非接触を徹底しています」と話します。
衛生面での配慮は調理室以外にも向けられています。2階には来客用トイレを別に設けて調理に関係するスペースに社外の人が立ち入る機会を減らしているほか、1階の駐車場そばには、配送に携わる従業員や協力事業者のためのトイレも別途設置しています。このトイレは外からしか出入りできない仕組みになっているため、配送に携わる人がトイレを利用する場面でも屋外のほこりや汚れを建物内に持ち込まずにすみます。
「高齢者施設の食事をつくることは、命に直結する業務でもあると感じています。今後も衛生管理を徹底し、安全安心でおいしい食事を届けていきます」と立花さんは力を込めます。
名 称 | いわきゅう浜松南工場 |
所在地 | 静岡県浜松市南区富屋町36-2 |
施 主 | 株式会社いわきゅう |
設 計 | 有限会社竹内設計舎 |
施 工 | 株式会社日成管興 |
構造・規模 | 鉄骨造ラーメン構造(地上2階)延床面積1142.60㎡ |
竣工年月 | 2021年1月 |
パブリックコンパクト便器・フラッシュタンク式 CFS497B | ウォシュレットP TCF585S |
壁掛ハイバック洗面器 LS125D | 自動水栓 TENA125A |
壁掛自動洗浄小便器 UFS900R | マーブライトカウンターボウル一体タイプ ML4B |
ベッセル式手洗器 L652C | 自動水栓 TENA12A |
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