TOTOパブリックレポートVol.19_Report　従業員満足度を高めるトイレづくりのヒント

製造業は人手不足が慢性化・深刻化　従業員満足度を高める環境整備がますます重要に

製造業の現場では、人手不足が大きな課題になっています。経済産業省の調査によると、製造業の94%以上の企業がその課題が顕在化していると回答。さらに、32%の企業がビジネスにも影響が出ていると回答しています。人手不足を一朝一夕で解決するのは困難です。だからこそ、「ここで働きたい」と思えるような魅力的で働きやすい環境整備が重要になります。

そこで注目したいのが「従業員満足度」という指標です。従業員満足度を意識してだれもが快適で安心して働ける環境を整備することは、女性や高齢者、外国人など多様な人材が活躍する基盤となり、採用活動にもプラスに働きます。これからの環境整備は、人材確保や生産性向上のために、従業員満足度の視点を取り入れていく必要がありそうです。

トイレはほっと一息つける　貴重な「リラックスの場」になっている

実は、従業員満足度を高めるうえで大きな役割を担うのが「トイレ」です。
TOTOの工場ワーカー調査で、工場で働く人たちに「職場のトイレがきれいだと従業員満足度につながるか」と聞いたところ、「とてもそう思う」「そう思う」との回答が約8割に達しました。

また、工場内で気分転換できる場所を挙げてもらったところ、休憩室や食堂といった休息目的の空間に次いで「トイレ」との回答が挙がりました。

理由として「短時間だけれど一人になれるから」「個室で落ち着けるから」など、休憩時間にリラックスしているという意見が多く挙がりました。労働時間中は作業に集中しているからこそ、持ち場を離れるトイレで一息つく─トイレの時間はそんな役割も果たしているようです。

“清潔”はトイレの大前提　寒さへの配慮や、混雑防止への対策も必要

職場のトイレで重視するポイントを尋ねたところ、いつもきれいで、臭くないという「清潔性」へのニーズが上位でした。毎日使うトイレだからこそ、いつもきれいでにおいが気にならない空間づくりが求められます。

例えば、個室では掃除しやすい形状の便器を導入したり、消臭効果のある建材を採用しておけば、掃除の手間を抑えながらきれいを保ちやすくなります。

また、混雑対策もニーズの高い項目でした。個室を増やす方法も効果的ですが、例えば一度水を流してから次に流すまでの時間が短いトイレを設置することも、混雑緩和につながります。さらに、暖房便座やお湯の出る水栓などの備えがあると冷え込みが厳しい冬にも安心して使えるうえ、手洗いも苦になりません。

身づくろいを済ませたり、作業の汚れを落としたり　洗面所は貴重なセルフケアの拠点になる

トイレ内の洗面所における快適さのニーズも高まっています。下の回答から手洗い以外にも顔を洗ったり、鏡の前で身づくろいをしたりと、さまざまな用途で洗面所が利用されていることがわかります。休憩中に顔を洗ったり、身だしなみを整えて午後の勤務をスタートしたりと、洗面所は気分転換に一役買っているようです。特に女性は化粧直しや歯磨きなども洗面所で済ませるため、歯磨きセットやメイクポーチを入れる小物入れがあれば便利。また、工場の洗面所では手洗い機能の向上も重要。業務によっては手指に強い汚れがついてしまうことがあり、男女ともにしっかりと手を洗う人が多く、ニーズに即した設備が求められます。

お湯が出る水栓や自動水栓は要望上位！　擬音装置や温水洗浄便座を望む声も

では、実際にどんな設備を優先して見直すべきでしょうか。

手洗いに関する設備では男女双方から「自動水栓」「お湯が出る水栓」を望む声が寄せられました。ポイント4で示したように、業務によっては作業で手指に強い汚れが付着することもあります。 そこで自動水栓やお湯の出る水栓などがあれば、汚れを広げずに手を洗いやすくなります。これは業務に直結したニーズといえるでしょう。

一方、トイレに関しては女性で「擬音装置」、男性で「温水洗浄便座」の導入が上位に入りました。

現在は湿水洗浄便座が設置できる洋式便器を好む人が多数派。この調査でも、和式便器と洋式便器のどちらを好んで使うかを尋ねたところ、洋式便器を選ぶ人が約9割と圧倒的多数となりました。洋式便器はひざや腰への負担を減らして安全に利用でき、清潔に保ちやすいなどの利点もあります。

＜調査概要＞