Outline
展覧会の見どころ
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現代社会の障壁を突破するチャレンジを紹介
TOTOギャラリー・間の運営委員4名が自らキュレーターとなり、2年以上にわたり重ねた議論が「How is Life?」のテーマに結実しました。社会を変えていくために建築になにができるのか。現代社会のさまざまな障壁を突破するチャレンジを紹介します。
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キュレーターが世界各地で見いだした、ユニークな実践の数々
本展キュレーターチームは、「How is Life?」の問いかけに答えている古今東西の多彩な事例をリサーチから見いだしました。展覧会会場では、私たちが知る都市や建築とは異なる可能性をともに考えるきっかけを与えてくれるプロジェクトを展示します。
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各プロジェクトの本質を掬い上げる、ライブ感あふれる展示
本展では、プロジェクトの選定のみならずいかにそのプロジェクトを展示するかについても、キュレーターが議論を重ねてきました。建築模型や活動の写真、実際の現場で使用される道具など多彩な素材が、選定者自身による取り組みの本質を突く解説文とともに展示されます。
産業革命以降手に入れた生産力を背景に、成長を是としてきた人類の活動は、プラネタリー・バウンダリー※1を超え、気候変動や南北格差をもたらし、声をあげることのできない生物や将来世代を搾取し続けている。その対応策として、成長の原動力となった産業や便利な暮らしを維持しつつ環境負荷を低減させる行動がSDGsとして推奨されているが、事態はより深刻で、持続的成長ではなく成長なき繁栄※2を本気で検討しなければならないところまで来ている。そのためには産業分野だけでなく、暮らし自体を見直し、その構成要素の一つ一つを、地球に負荷をかけない方向に転換していかなければならない。しかし、産業からサービスを買うことに慣れてしまった我々は、自らの手で衣食住やエネルギーを獲得するスキルをもたず、また産業社会的連関による包囲網はそこからの逸脱を容易には許さない。20世紀後半につくられた生産―消費―廃棄の想定を定着し続けてきた構築環境の中に暮らしていると、その想定を疑うことも容易ではない。そこで培われた自画像は、同じ想定に基づく構築環境や暮らしを再生産してしまう。その反復から抜け出して、成長なき繁栄を選ぶのならば、我々はどう生きるか? 建築が人々の暮らしをよりよくすることに奉仕するものであるならば、そうした包囲網を障壁として発見し、挑んでいくことから、建築的営為を始めるべきだろう。その時話し合いのテーブルにつくのは、今ここにいる自分達だけでなく、立場の弱い人、地球の別の場所にいる人、未来の人、そしてヒト以外の生物かもしれない。「How is Life?」という、彼ら、そして私達自身への問いかけを、建築展という形にする試みに、ご期待あれ。
塚本由晴、千葉 学、セン・クアン、田根 剛
※1 プラネタリー・バウンダリー Rockström, Johan, et al. "A safe operating space for humanity." Nature, vol. 461, no. 7263, 24 Sept. 2009, pp. 472+.
※2 成長なき繁栄 Tim Jackson (2009). Prosperity without Growth. Earthcan. (ティム・ジャクソン 田沢恭子( 訳 ) (2012). 成長なき繁栄 ―地球生態系内での持続的繁栄のために― 一灯舎)
Contents
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- プロジェクト
- メイキング
- コラム
- 動画
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- ニュース
- コラム
編集事務所Office Bungaの磯達雄さんの視点から、How is Life?展をより深く楽しむのに役立つ情報をお届けします。
2023.3.6 -
- ニュース
- イベント
日にち:2023年3月12日(日)
場 所:ギャラリー3F
東京らしい自転車の楽しみ方を共有し、今後の課題も浮き彫りにしながら、都市や小さなモビリティの可能性を議論します。2023.3.20 -
- イベント
- 動画
東京理科大学西田研究室の『コロナの時期の過ごし方を面白がる建築学生ラジオ』で本展を紹介。西田司さんが、塚本由晴さん、平尾しえなさんと循環型建築の可能性や展示の見どころについて語ります。
2023.2.20 -
- テーマ
- コラム
本展のアシスタントキュレーターを務めた平尾しえなさんが、展覧会の概略を説明したテキストがTOTO通信に掲載されました。農/道具/診断/当事者性、の4つの視点で展覧会を紐解きます。
2023.2.6 -
- ニュース
- テーマ
- コラム
本展の展示デザインを担当した建築家のアリソン理恵さん、アシスタントキュレーターの平尾しえなさんの両名によるエッセイを公開しました。制作に深く携わったおふたりの視点から、展覧会を通して得られる気づきが語られています。
2023.1.26 -
- プロジェクト
- 動画
建築家の塚本由晴氏自らが拠点とする千葉県鴨川市の「釜沼集落」の里山再生プロジェクト、「小さな地球」の取り組みを紹介します。
2023.1.26 -
- プロジェクト
- 動画
建築家の塚本由晴氏が、ギャラリー中庭に1/1スケールで展示した「茅葺普請」「石積学校」を解説します。
2023.1.26 -
- プロジェクト
- 動画
建築家の千葉学氏が、自転車交通により都市の再編を提言するBicycle Urbanismについて解説します。
2023.1.26 -
- プロジェクト
- 動画
建築家の田根剛氏が、移動時間15分圏内での生活圏の構築を目指す15-Minute Cityの構想とパリ市の取り組みを紹介します。
2023.1.26 -
- プロジェクト
- 動画
建築史家のセン・クアン氏が、ブロックチェーン技術を活用し、植物が自らの所有者となる画期的なプロジェクトを紹介します。
2023.1.26 -
- プロジェクト
- 動画
2年半におよぶキュレーター会議において取り上げられた書籍を展示するライブラリーコーナーの紹介です。
2023.1.26 -
- プロジェクト
- メイキング
中庭の展示がアップデートされました。藁ボッチを解体し、茅葺の架構を組み上げています。ワークショップの参加者の方によって制作された展示をぜひご覧ください。
2022.12.23 -
- コラム
編集事務所Office Bungaの磯達雄さんの視点から、How is Life?展をより深く楽しむのに役立つ情報をお届けします。
2022.12.23 -
- イベント
日にち:2023年1月22日(日)
場 所:ギャラリー3F中庭
人力で運べる大きさの野石を組んでつくる空石(からいし)積みは、やり方を学べば自分たちでもできます。2023.1.26 -
- テーマ
会場写真を掲載しています。22のプロジェクトが相互に関係し合う展示風景をご紹介します。
2022.11.15 -
- テーマ
TOTOギャラリー・間運営委員であり本展のキュレーターを務める4名の建築家、建築史家のプロフィールを掲載しています。
2022.10.20 -
- イベント
日にち:11月27日(日)
場 所:ギャラリー3F中庭
古くから里山の資源循環の一端を担ってきたサスティナブルな建材である茅を、自分の手で葺きながら学ぶプログラムです。2022.11.28 -
- イベント
TOTOギャラリー・間館長の橋田、ならびに本展担当ディレクター、スタッフによるギャラリーツアーを開催します。展示をわかりやすく、より深く楽しむためのプログラムです。
2022.10.20 -
【参考図書】展覧会をより深く学ぶための書籍を展示中!
- テーマ
キュレーター会議で取り上げられた書籍を会場で展示中。併設のBookshop TOTOでは販売もしております。
2022.10.20 -
【制作の裏側】釜沼集落にてキュレーター合宿を実施しました
- プロジェクト
- メイキング
5月、プロジェクト「小さな地球」の舞台である千葉県釜沼集落にて、キュレーター合宿を行いました。企画会議とポスター撮影を実施し、資源と道具の連関の場を体験しました。
2022.10.20 -
【制作の裏側】茅葺のモックアップ実験を実施
- プロジェクト
- メイキング
中庭では茅葺による構造が建ちあがります。昔の民家でよく使われた、「苫葺(とまぶき)」という茅を下向きに並べる方法を用います。11月には茅葺集団「くさかんむり」が茅を葺く作業風景を公開。1:1のモックアップで検証した様子をチラ見せします。
2022.10.20