TOTO

TOTOギャラリー・間 北九州巡回展 「堀部安嗣の建築展――懐かしい未来へ向かって」

展覧会コンセプト
懐かしい未来へ向かって

いつかどこかで感じた記憶。
縁側で寝そべっていたときの風の快適さ。
暑い夏、土蔵の中に入ってひんやりとした体感と土の匂い。
薄暗いところ、狭いところの安心感。
寒い冬、暖炉の火を囲んだときの輻射熱の暖かさ。
木でつくられたガラス戸を開けるときの触覚や、無垢の木の床から足に伝わる感覚。
穏やかな山の斜面に気持ちよさそうに佇んでいる集落を見るときの心地よさ。

このような体感の記憶なくして、私は設計することができません。
私にとって設計とは、いままで見たことも感じたこともないものをつくり出す行為ではなくて、すでに見て感じたことを、体感の記憶を頼りにいまに表現する行為です。
そして、世の中が更新し続けるもので埋め尽くされてゆけばゆくほど、建築こそは動かずにじっとしていて、慣れ親しんだ変わらない価値を示し、人びとにとって大切な未来の原風景になってほしいという思いを強くしてきたのです。

この展覧会ではそんな私の思いを、みなさんが体感してくれることを心から願っています。
堀部安嗣
建築家プロフィール
堀部安嗣(ほりべ やすし)
建築家、京都造形芸術大学大学院教授
1967年神奈川県横浜市生まれ。
1990年筑波大学芸術専門学群環境デザインコース卒業。
1991-94年 益子アトリエにて益子義弘に師事。
1994年堀部安嗣建築設計事務所設立。
25年間で100超の住宅や店舗等を設計。

2002年「牛久のギャラリー」で第18回吉岡賞を受賞。
2016年「竹林寺納骨堂」で日本建築学会賞(作品)を受賞。
その他の作品に「南の家」、「イヴェール ボスケ」、「阿佐ヶ谷の書庫」、「大山阿夫利神社 茶寮石尊」など。

主な著書に『堀部安嗣の建築 - form and imagination』(TOTO出版)、『堀部安嗣作品集 1994-2014 全建築と設計図集』(平凡社)、『堀部安嗣 建築を気持ちで考える』(TOTO出版)、『住まいの基本を考える』(新潮社)など。
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