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藤村龍至展 ちのかたち――建築的思考のプロトタイプとその応用

ギャラリートーク
「藤村龍至展――ちのかたち」の3つの構成要素(タイムライン、マルシェ、離散空間)をさらに深掘りし、多角的に検証する3回連続のトークイベントです。
開催日時、出演者
第1回:8月22日(水)「ギャラマルシェ」 開催終了
出演:菅沼朋香・トヨ元家・山本蓮理×藤村龍至
おもなプログラム:トークイベント、雑貨展示、ライブ・パフォーマンス
第1回目の様子
第2回: 9月4日(火) 開催終了
出演:堀川淳一郎・木内俊克・砂山太一 ×藤村龍至
テーマ:「計算的連続体へーDeep Learning Chairと離散空間Gをめぐって」
第2回目の様子
1990年代終わりに出現し2000年代に拡張したコンピューテーショナルデザインやデジタルファブリケーションは2010年代に入ってより身近になり、設計のみならずマテリアルや建設作業のあり方に大きく影響を与えつつあります。第2弾となる今回は、計算がもたらす建築の可能性が、従来の建築の手法とどのように関係づけられ、また更新されうるかについて、精力的に作品制作と批評を展開する木内俊克氏、砂山太一氏、そして「Deep Learning Chair」のプログラミング協力者である堀川淳一郎氏と掘り下げていきます。
第3回: 9月12日(水) 開催終了
出演:藤原徹平・松川昌平×藤村龍至
テーマ:「教育と学び」
第3回目の様子
《ご注意》
お申込みは、「受講券メール」の受信をもって完了となります。お申込みが定員に達し次第、自動的に締め切られます。申し込みが締め切られますと「Not Found」や「Webページが見つかりません」などの画面が表示され、お申込みいただけません。あらかじめご了承ください。
時間
18:15開場、18:30開演、20:00終了予定
※受付は3Fにて行います。
会場
TOTOギャラリー・間 中庭
港区南青山1-24-3 TOTO乃木坂ビル
定員
40名
参加方法
事前申し込み制/入場無料
※申込先着順受付。定員になり次第、受付を締め切らせていただきます。
ご注意事項
※プログラムは予告なく変更することがございます。
※お座席は自由席となります。尚、お座席数には限りがございますので、立ち見となる場合がございます。
※ギャラリートーク中の撮影、録音はご遠慮願います。
第1回 ゲストプロフィール
菅沼朋香(すがぬま ともか)
アーティスト/鳩山町コミュニティ・マルシェチーフコーディネーター
高度経済成長期をテーマに作品制作を行うかたわら、ニュータウンの移住推進と起業支援を目的とした鳩山町コミュニティ・マルシェのチーフコーディネーターを務める。現在超高齢ニュータウンの元空家にサイケデリックなコミュニティカフェ「ニュー喫茶 幻」を開店準備中。主なグループ展に「中之条ビエンナーレ2017, 2015」「六甲ミーツアート2016」「あいちトリエンナーレ2013」等。
トヨ元家(とよ もといえ)
イベントプロデューサー/鳩山町コミュニティ・マルシェコーディネーター
「昭和」をテーマに全国各地で町おこしイベントの企画を行う。主な企画・出演に「味園EXPO」「電撃的大阪」「ギター流してこんにちはin中之条ビエンナーレ」「金山ぐるりタイムトンネル(ライブステージ部門)」「昭和の夜明け」等。
山本蓮理(やまもと れんり)
「夢見創」代表。焼き菓子作家/実演家/作詞作曲/ライター/イベンター
夢見がちなエッセンスを取り込んだ焼き菓子ブランド「夢見菓子」を運営し、企画性溢れる焼き菓子を製造・販売している。アルコールと私的なストーリーを詰め込んだ「深夜の焼き菓子」シリーズ、オリジナルイラストと占い師監修メッセージが書かれたカード付きの「女神からの贈り物クッキー」シリーズ等。

※写真左から2番目よりトヨ元家、菅沼朋香、山本蓮理

第2回 ゲストプロフィール
堀川淳一郎(ほりかわ じゅんいちろう)
2009年に米コロンビア大学AADを修了。その後建築設計事務所のノイズアーキテクツにて建築設計と建築やインスタレーションのアルゴリズミック・デザインやデザイン支援ツール制作などに携わる。
2014年にOrange Jelliesとして独立し、プログラミングを介した建築やプロダクトのバーチャル、フィジカルを問わない造形制作・コンサルタントを中心に、プラットフォームを問わないソフトウェア開発を行なっている。現在株式会社gluonのテクニカルディレクターも兼ねている。
またノイズアーキテクツの豊田啓介氏とv0idの岡本空己氏とともに、東京藝術大学で非常勤講師として教えている。著書に石津優子氏と共著の「Parametric Design with Grasshopper」と、単著の「Nature Design with Houdini」がある。
木内俊克(きうち としかつ)
東京大学大学院建築学専攻修了。Diller Scofidio + Renfro (2005-2007, New York)を経て、R&Sie(n) Architects (2007-2011, Paris)では、十和田市美術館でのHypnotic Chamber、2010年ヴェネツィア・建築ビエンナーレでのインスタレーションなど、デジタルデザインツールによる形態生成やファブリケーションの可能性を追求。2012年より木内俊克建築計画事務所(現・木内建築計画事務所)を立ち上げ、舞台美術・建築から、パブリックスペース・都市計画に至るまで領域横断的なデザインの実践を行う傍ら、東京大学他でのコンピュテーショナルデザイン教育/研究活動に従事。
2015年からは、東京大学Design Think Tankにて都市空間生態学と題したプロジェクトに取り組み、都市で活動する人々の視点や関心のデータ的把握とそのプロセスを通した都市介入について研究を行っている。
代表作に都市の残余空間をパブリックスペース化した『オブジェクトディスコ』(2016)など。イスラエル・ホロン市開催のUrban Shade Competition(2014)では歩道や広場を横断して設置する巨大なキャノピーによる都市介入提案で勝利案受賞。
砂山太一(すなやま たいち)
建築と現代美術を主軸に、設計、制作、研究、執筆、企画、などの活動を展開する。大学で彫刻を学んだ後2004年渡仏。コンピュータプログラミングを介して建築形態をつくりだす研究をおこなうとともに、建築設計事務所Jakob + Macfarlaneや構造設計事務所Bollinger + Grohmannで勤務・協働する。2011年帰国。建築家との共同制作や、情報性と物質性を切り口とした展覧会企画、美術批評を手がける。2016年、東京藝術大学大学院美術研究科建築(構造計画)研究領域博士後期課程学位取得。
現在、東京と京都に設計制作スタジオをかまえつつ、京都市立芸術大学芸術学研究室において「芸術と社会」ゼミの他、現代芸術論、デザイン論講義を担当するなど理論的展開を行なっている。
第3回 ゲストプロフィール
藤原徹平(ふじわら てっぺい)
建築家。横浜国立大学大学院Y-GSA准教授。フジワラテッペイアーキテクツラボ主宰。
1975年横浜生まれ。横浜国立大学大学院修士課程修了2001年より隈研吾建築都市設計事務所勤務、設計室長・パートナーを経て2012年退社。
2012年より現職。一般社団法人ドリフターズインターナショナル理事、宇部ビエンナーレ審査員・展示委員。
主な作品に「等々力の二重円環」、「代々木テラス」、「稲村の森の家」など。
著書に『7inch Project〈#01〉Teppei Fujiwara』(ニューハウス出版、2012年)、共著に『アジアの日常から』(TOTO出版、2015年)、『応答 漂うモダニズム』(左右社、2015年)など。受賞に日本建築士会連合賞奨励賞、東京都建築士会住宅建築賞、日本建築学会作品選集新人賞など。
松川昌平(まつかわ しょうへい)
慶應義塾大学環境情報学部准教授、博士(工学)、000studio主宰。
1974 年生まれ。1998年東京理科大学工学部建築学科卒業。1999年000studio設立。2009-11年、文化庁派遣芸術家在外研修員および客員研究員としてハーバード大学GSD在籍。2014年より現職。建築の計算(不)可能性を探究。アルゴリズミック・デザインの研究、実践を行う。共著に『設計の設計』(INAX出版、2011)、訳書に『アルゴリズミック・アーキテクチュア』(彰国社、2010)など。
ギャラリートーク開催報告
藤村龍至氏の「ちのかたち」展の3つの構成要素(タイムライン、マルシェ、離散空間)をさらに深掘りして多角的に検証する3回連続のトークイベントを開催しました。
第1回: 菅沼朋香・トヨ元家・山本蓮理 × 藤村龍至
「ギャラマルシェ」
「鳩山町コミュニティ・マルシェ」の管理・運営を通して超高齢化が進む郊外ニュータウンの再生に取り組む藤村氏と、共に携わるアーティスト3人が出演し、TOTOギャラリー・間の中庭で一夜限りのマルシェを開催しました。高度経済成長期のニュータウンの誕生を知らない若者世代が、新鮮な感覚で隠れた問題を見つけ、「マルシェ」という方法で住民と課題を共有し解決に導いていく実践を、現実さながらのマルシェでリアルに再現。さらに、藤村氏から「マルシェ」と「住み開き」の併せ技によって公共と個人の生活を結びつけ、活気あふれるニュータウンを実現していこうという展望も語られました。(主催者記)

第2回:堀川淳一郎・木内俊克・砂山太一 ×藤村龍至
「計算的連続体へーDeep Learning Chairと離散空間Gをめぐって」
藤村氏による「ちのかたち」の三段活用、「個人」(本展3Fタイムラインに相当)→「集団」(同中庭マルシェ)→「計算」(同4F Deep Learning Chair(以下DLC)と離散空間)をめぐり、デジタルスペースをさまざまなアプローチで研究・実践する4人が登場。DLCのプログラミングを行った堀川淳一郎氏によるDLC生成過程の解説を起点に、「学習(Learning)と最適化(Optimization)の違いは?」「まだ人間に頼っているテクトニクス(構築方法)を、AIにいかに学習させるか?」「クオリティ担保のための規範はいかに学習されるか?」など、さまざまな議論が交わされました。「モノとしてのフェーズをソーシャルにどう繋げていくか」という根本的な質問に対し、東京藝術大学藤村研究室では、具体的な建築の実践と、実社会でのリサーチの往復によって実現しようとしていることを紹介。来るべき時代に向け、AIとの共存で建築がどう展開していくのか、さまざまな可能性が示されました。(主催者記)

第3回:藤原徹平・松川昌平×藤村龍至
「教育と学び」
最終回「教育と学び」は、それぞれ大学で教鞭を執りつつ建築家として異なるスタンスを取る3氏が登場。「建築が変わりつつある現在に求められる教育とは?」との問いに、「実環境におけるデザインアーキテクト(藤原氏)」、「情報環境におけるITアーキテクト(松川氏)」、「社会環境におけるソーシャルアーキテクト(藤村氏)」(松川氏による分析)が、各理論を展開。「IT技術のアシストによって多くの人に試行錯誤して学ぶ機会を増やし、だれもが建築をつくれるしくみが実現可能だ」という松川氏のメタ理論に対し、個人の自立的な学びから自分独自の枠組みを見出していく経験主義を藤原氏が提起。藤村氏は両者間の能動的な往復により知の体系をつくっていこうとするなど、数々の創造的なビジョンが述べられました。聴講者から積極的な批評や質問も挙がり、「教える、教えられる」立場を超えて、他者と自分が相互に学びあう環境を創造していくことの大切さが確認されました。(主催者記)

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