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en[縁]:アート・オブ・ネクサス――第15 回ヴェネチア・ビエンナーレ国際建築展 日本館帰国展

特別企画 「食堂付きアパート」見学会+トークイベント
「小さな経済」が循環する街ーー「食堂付きアパート」のいまとこれから
本展の出展作家のおひとり、仲建築設計スタジオの作品である、「食堂付きアパート」にて作品見学会およびトークイベントを開催しました。
社会インフラや価値観の変化によって、住まい方や働き方、そして人とのコミュニケーション方法も多様化する中で、こうしたニーズに応え得る建築とはどのようなものなのか、「食堂付きアパート」で実現したこととは?――これまでの実践とこれからの可能性について、設計者の仲俊治氏、「食堂付きアパート」のオーナーの椛沢誠治氏、そして実際に住戸にお住いの植原正太郎氏にご登壇いただき、それぞれの立場からお話しいただきました。
開催日時
2月25日(日) 14:00~17:00 開催終了
見学会+トークイベントの様子
出演
仲 俊治氏(設計者)
椛沢誠治氏(施主)
植原正太郎氏(入居者)
会場
食堂付きアパート1F「スイーツ&カフェ ピーカーブー」
(東京都目黒区目黒本町5-14-14)
東急目黒線武蔵小山駅下車、徒歩5分
定員
30名
参加方法
事前申し込み制/入場無料
※申込先着順受付。
ご注意事項:
※プログラムは予告なく変更することがございます。
※お座席は自由席となります。
※トークイベントおよび住戸内の撮影、録音はご遠慮願います。
※現地集合・解散となります。
登壇者プロフィール
仲 俊治(なか としはる)
仲建築設計スタジオ代表取締役
1976年京都府生まれ。1999年東京大学工学部建築学科卒業。2001年東京大学大学院工学系研究科建築学専攻修了。2001-2008年株式会社山本理顕設計工場勤務。2009年株式会社仲建築設計スタジオ設立。2009-2011年横浜国立大学大学院Y-GSA 設計助手。2011-2014年東京都市大学非常勤講師、2015年東京大学非常勤講師。現在、横浜国立大学、明治大学、関東学院大学、東京理科大学、法政大学、首都大学東京にて非常勤講師。
椛沢誠治(かばさわ せいじ)
食堂付きアパート「ステアズ」オーナー。
植原正太郎(うえはら しょうたろう)
NPO法人グリーンズ greenz.jpコミュニティエディター
1988年仙台生まれ。親の仕事の都合で日本全国を転勤しまくる幼少期を過ごす。大学卒業後、デジタルマーケティングのコンサルティング会社に入社。その後、2014年10月よりNPO法人グリーンズにスタッフとして参画。WEBマガジン「greenz.jp」の寄付読者制度「greenz people」を担当し、日本初の寄付型メディアづくりに挑戦中。ライフワークとして、東京の武蔵小山で「風邪で倒れた時にお粥を届けあう」助け合いのご近所コミュニティづくりに励む。2017年3月より「ステアズ」に入居。

食堂付きアパート(東京都、2014年)
設計:仲建築設計スタジオ
「食堂付きアパート」見学会+トークイベント 開催報告
日本建築学会新人賞(2016年)をはじめ、数々の賞を受賞してきた「食堂付きアパート」を会場に、設計者、施主、居住者、三者によるトークイベントおよび見学会を開催しました。「食堂付きアパート」が立地する武蔵小山は昔ながらの商店街が集まる閑静な住宅街。築30年のごく一般的なアパートを建て替えるにあたり、いかに街に開かれたアパートを実現するか、施主と設計者が二人三脚で考え抜いたプロセスをさまざまなエピソードとともにお話しいただきました。
「食堂付きアパート」は、職、住のあり方が多様化する中、10坪というごく小さな食堂を核に、5戸のSOHO住戸とシェアオフィス、そして様々なイベントを可能にする共用部から成ります。それらは、建物内外での消費や情報の流通、人びとのコミュニケーションを図るための装置となっており、食堂が時にミーティングルームになり、また共用部では住人主催のフリーマーケットや夏祭りが開催され、地域のゆるやかなコミュニティを生み出しているといいます。オーナーの椛沢さんからは、入居者を受入れるにあたり、できるだけオープンな住まい方をしてもらいたいと、「住み開き優先」というユニークな募集をされたお話など、運営上の工夫もお話しいただきました。
見学会では、シェアオフィスとSOHO住戸、共用部分を見学。自宅として入居され、さまざまなイベントも仕掛ける植原さん自ら、その住み心地を含めご説明いただきました。イベント終了後には、食堂にてティータイムを楽しみながら、さらに仲さん、椛沢さん、植原さんを囲んでのトークタイムが続きました。

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編者=山名善之+菱川勢一+内野正樹+篠原雅武