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en[縁]:アート・オブ・ネクサス――第15 回ヴェネチア・ビエンナーレ国際建築展 日本館帰国展

シンポジウム CPD認定プログラム
本展で主題とした「建築の今日的状況」を歴史的・社会的に俯瞰して捉えなおし、読み解くためのシンポジウム。さらに、「新しい関係のかたち」が今後どこにつながっていくのか、そこに建築および建築家がどう貢献していけるのか、期待される役割と展開を展望しました。
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タイトル
第15 回ヴェネチア・ビエンナーレ国際建築展日本館帰国展記念シンポジウム
「en[縁]: アート・オブ・ネクサス、その先へ」
日時
2018年2月16日(金) 17:00開場、18:00開演、20:30終演(予定) 開催終了
会場
建築会館ホール(東京都港区芝5-26-20)
監修・モデレーター
塚本由晴(建築家/アトリエ・ワン、東京工業大学大学院教授)
山名善之(建築家、東京理科大学教授、本展監修者)
パネリスト
槇 文彦(建築家/槇総合計画事務所)
西田 司(建築家/オンデザインパートナーズ)
成瀬友梨(建築家/成瀬・猪熊建築設計事務所)
能作文徳(建築家/能作アーキテクツ)
伊藤 暁(建築家/ BUS、伊藤暁建築設計事務所)
定員
350名/参加無料
参加方法
事前申込制:申込期間内にTOTO ギャラリー・間ウェブサイトよりお申込みください。
お申込期間:2017年11月17日(金)~2018年1月28日(日)
応募者多数の場合、抽選の上、2018年2月9日(金)までに結果をご連絡いたします。
監修・モデレーター
塚本由晴(つかもと よしはる)
建築家。東京工業大学大学院教授。1965年生まれ。1987年東京工業大学工学部建築学科卒業。1987~88年パリ・ベルヴィル建築大学、特別聴講生。1992年貝島桃代とアトリエ・ワン設立。1994年東京工業大学大学院博士課程修了。Harvard GSD、UCLA、The Royal Danish Academy of Fine Arts、Barcelona Institute of Architecture, Cornel University、Rice University、TU Delftなどで客員教授を歴任。
パネリスト
槇 文彦(まき ふみひこ)
1928年東京生まれ。1952年東京大学工学部建築学科卒業後、クランブルク美術学院を経て、1954年ハーバード大学修士課程修了。ワシントン大学準教授、ハーバード大学準教授を歴任後、1965年に槇総合計画事務所を設立。1979年-89年東京大学工学部建築学科教授。現在、日本建築家協会会員、アメリカ建築家協会名誉会員、英国王立建築家協会名誉会員。主な受賞に、日本建築学会賞(1963年、1985年)、朝日賞(1992年)、プリッツカー賞(1993年)、UIAゴールドメダル(1993年)、プリンス・オブ・ウェールズ都市計画賞(1993年)、高松宮殿下記念世界文化賞(1999年)、AIAゴールドメダル(2011年)、恩賜賞・日本芸術院賞(2012年)、文化功労者(2013年)など。
シンポジウム開催報告
展覧会の監修者である山名氏の基調講演からシンポジウムがスタート。en展誕生のいきさつや意図を全員で共有したのち、「人の縁」「モノの縁」「地域の縁」を代表し、4名の出展作家が登壇。西田氏は大学の学生寮を例に、1つの大きなパブリックではなく個の集合が持続可能な交流を実現する「多中心」という概念を提案。猪熊氏、能作氏、伊藤氏も、各自が考える建築のコンセプトについてプレゼンテーションを行った。
4名の発表を受け、槇氏からは、組織設計事務所=「軍隊」だけではなく、アトリエ事務所で働く「民兵」たちが活躍する新しいフィールドが今後広がっていく可能性と、日本人の穏やかできめ細やかな感性がen展の作品に類似性をもたらしているという指摘をいただいた。続くディスカッションでは、それぞれのコンセプトをつぶさに分析し、enの根底にある「共感」のうねりのなかに存在する差異を丁寧に見出しながら議論を深めていった。モデレーターの塚本氏は、複雑な現代社会を小説によって描き出そうとするイギリスの「状態小説」になぞらえ、現代の若手建築家の活動を「状態建築」と表現。その背景には、強い表現でこそないが、新しい建築を生み出すポテンシャルがあるのではないかと、期待を込めた言葉で締めくくった。

TOTO出版関連書籍
編者=山名善之+菱川勢一+内野正樹+篠原雅武