建築文化活動
TOTOギャラリー・間
TOTO出版
Bookshop TOTO
展覧会
TOTOギャラリー・間
これからの展覧会
過去の展覧会
展覧会レポート
展覧会
他会場
開催中の展覧会
これからの展覧会
講演会
これからの講演会
公開中の講演会
過去の講演会
講演会レポート
アクセス・利用案内・団体利用案内
アクセス
利用案内
団体利用案内
ミュージアムショップ
Bookshop TOTO
TOTOギャラリー・間について
お問い合わせ
建築文化活動
TOTOギャラリー・間
TOTO出版
Bookshop TOTO
TOTOギャラリー・間について
|
お問い合わせ
展覧会
TOTOギャラリー・間
展覧会
TOTOギャラリー・間
これからの展覧会
過去の展覧会
展覧会レポート
展覧会
他会場
展覧会
他会場
開催中の展覧会
これからの展覧会
過去の展覧会
講演会
講演会
これからの講演会
公開中の講演会
過去の講演会
講演会レポート
アクセス・利用案内
団体利用案内
アクセス・利用案内
団体利用案内
アクセス
利用案内
団体利用案内
ミュージアムショップ
ミュージアムショップ
Bookshop TOTO
展覧会について
出展者について
展覧会レポート
講演会(東京)
講演会レポート(東京)
講演会(神戸)
講演会レポート(神戸)
ギャラリートーク1
ギャラリートークレポート
ギャラリートーク2
特別対談
ギャラリーツアー
ギャラリートークレポート
「サンタ・マリア・タワーから見たアンデスの夕景」
レポーター=山道拓人
2016年7月16日に、スミルハン・ラディック事務所の唯一の日本人スタッフである原田雄次氏と共に、「サンタ・マリア・タワーから見たアンデスの夕景」というタイトルでギャラリートークを行なった。
2012年、彼の少しあとに私も南米チリへ渡り、彼はラディック事務所、私はアレハンドロ・アラヴェナ率いるエレメンタルの門戸を叩いた。
ラディックは詩的、アラヴェナは社会的と比較形容されることも多い対照的な建築家たちだが、実は首都サンティアゴの中心に立つサンタ・マリア・タワーという同じビルにオフィスを構えている。
ラディック事務所は20階、エレメンタルは25階。ビルの足下には、今まさに発展を遂げているサンティアゴの都市が広がり、すぐ後ろには圧倒的な高さを誇るアンデスの山々が聳える。
ギャラリートークでは、たまたま同じ時期に同じタワーで働いていた日本人2人が、各々どのような景色を見ていたかという観点で話をした。
チリは太平洋とアンデス山脈に挟まれた南北4,000km、東西150kmという極細の国土をもつ。南北に走るハイウェイを走れば、みるみる気候が変わって行く。北はアタカマ砂漠、南は南極まで国土が広がる。
また、チリは経済的な成長を遂げているとはいえ、階級社会がいまも根強く残り、サンティアゴのエッジにはスラムが張り付き、その境界ははっきりと目に見える。
極端に相容れないものがものすごく近い距離で隣り合っている、チリはそんな国なのではないかと思う。
こういった意味においては、ラディックが「グリフォン」という鷲の上半身とライオンの下半身をくっつけた中世の寓話に出てくる幻獣に着想を得た建築をつくるのも、アラヴェナがコンクリートの躯体と住民のDIYが交互に反復するソーシャルハウジングを仕掛けるのも、ともにチリらしい建築のあり方だと納得できる。
今回のスミルハンの展示で、来場者を間違いなく混乱させ楽しませてくれる「マイファーストタワー」という作品がある。キューピー人形とチーズシュレッダーが並べられた作品だ。たしかにこれも、彼の建築観をクリアに示すグリフォンだ。
「マイ・ファースト・タワー」(2016)
「NAVE―パフォーミング・アーツ・ホール」(チリ、サンティアゴ/2010)の模型 © Nacása & Partners Inc.
“できれば、あの優美な仏像たちをF-14戦闘機にのせてみたいと思う。”
これは、篠原一男による「仏像たちと戦闘機と」という衝撃的な論考の結びの一文だ。相容れない言葉同士をぶつけることによって、あるいは、その言葉同士の意味の距離によって、読み手に想像力が切り開かれる。もちろんつくり手にとっても創作のエンジンとなる言葉遊びだ。ニコニコしたキューピーが仏像に、ギラギラしたチーズシュレッダーが戦闘機のイメージに重なる。
キューピーの隣には、実際に建設されたプロジェクト「NAVE-パフォーミング・アーツ・ホール」(チリ、サンティアゴ/2015年)の模型が置かれる。築100年ほどの歴史的建造物を演劇空間へとコンバージョンするものだ。築100年のいかにもシアターらしい胴部と、ものの数時間で建ったというテント小屋の帽子。2つの異なる演劇のタイポロジーが接続される。これは建築的なグリフォン。
他にも、スミルハンの妻であり彫刻家マルセラ・コレアの石の彫刻を建築の柱として使い膜の屋根がかけられたレストランや、まさに異邦人とも言える原田氏が持ち込んだと思われる浮世絵スタイルが広角レンダリングと合成されたドローイングなど、そこかしこにグリフォンが放たれる。
原田氏の解説を通して、スミルハンが身の回りの異質なものをグリフォンの材料としてどんどん切って貼って行く様子が想像される、楽しいトークとなった。
トークの最後には、東日本大震災により発生した津波により被害を受けたチリの海辺の集落、プエルトビヤホを原田氏と共に訪れたエピソードを紹介した。チリと日本は地球の裏側同士だが、太平洋で繋がっていることを実感した瞬間だった。
都市と自然、伝統と新技術、発展と格差といった矛盾をどう建築のエネルギーに昇華していくか、チリと日本は相通じる主題をもつ。スミルハンはその主題において、特に詩的な切り口を見せてくれる建築家である。
山道拓人(さんどう たくと)
建築家 / ツバメアーキテクツ代表取締役
1986年
東京都生まれ
2009年
東京工業大学工学部建築学科卒業 塚本由晴研究室
2011年
同大学大学院 理工学研究科建築学専攻 塚本由晴研究室 修士課程修了
2012年-
アレハンドロ・アラヴェナ・アーキテクツ/エレメンタル
(チリ、サンチアゴ)
2012-2013年
Tsukuruba Inc. チーフアーキテクト
2013-2014年
横浜国立大学大学院建築都市スクールY-GSA 非常勤教員
2015年-
東京理科大学 非常勤講師
スミルハン・ラディック 寓話集
著者=スミルハン・ラディック
Copyright © TOTO LTD. All Rights Reserved.
画像・写真等の無断転載および無断使用を禁止します。