ところで、ビル側が重視したもうひとつのポイントは、機器の選定。注目したのがTOTOの「レストルームアイテム01(ゼロワン)」だったと青木さんは語る。

「ともかく、トイレの主役は便器ですから。ゼロワンはすごくシンプルで清潔感がある商品です。壁付けで床から浮いているので清掃性がよく、ウォシュレットの操作部分の袖もないから、脇に荷物も置きやすい。しかも節水型と、魅力がいっぱいの製品で、ぜひこれを採用したいですねと設備の担当の方と話していました」
実際に2階の一般トイレを見学すると、確かに黒い床、白い壁の空間にシンプルなデザインの便器が浮いているさまはとても清潔感がある。通常のトイレで気になるのが、便器の横のほうに見えるウォシュレットの給水管や電源コードだが、それらが表にいっさい出ていない点も見た目の清潔感にひと役買っている。
またトイレ全体は、清潔感を出しつつ、光にも気を配っている。「このターミナルの空間全体があたたかみのある光で統一してあるので、トイレ内もそれに合わせて、あえて白い光にはしていないんです」とは佐藤さんの弁。言われてみれば、確かに白と黒の空間といっても、病院や工場のように冷たく無機質な印象はない。
撮影はターミナルビルのオープン前、インタビューはオープン後となったため、再度、空港内のトイレをのぞいてみると、パウダーコーナーのカウンター隅に、本日の清掃担当者名を掲げたプレートを発見。ホテル並みのもてなしの空間を提供したいというビル会社の意志を象徴しているように見えた。




