特集/ケーススタディ

農家再生
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 瀬戸内海に浮かぶ淡路島の北部を占める淡路市。明石海峡大橋を通じて神戸市に隣接し、神戸都市圏に含まれる。交通至便。気候温暖。
 淡路市の人口統計をみると、2010年では4万6465人で、1970年に比べると25%減。兵庫県全体ではその期間に20%増であることからすると、典型的なストロー現象といえよう。農業就業人口をみるとさらに愕然とする。同じく2010年には2317人だが、そのうちで65歳未満は3分の1。残り3分の2は高齢者なのだ。淡路島のなかでも開けた平野のある南部に比べ、起伏が大きい山地が多くを占める北部はもともと農業には向いているとはいえないが、それにしても危機に瀕しているといういい方をはるかに通り越している事態であるのは明らかだ。
 全国の農山村で進んでいる過疎化、高齢化は、このような都市圏においても条件によっては顕著に進捗することが知られる。当然、住宅とその周囲の環境への手入れも十分にはなされず、時に放置されていってしまうことも少なくない。
 こうした大きな流れを元から変えるのは、どの分野にあっても容易になしえることではなく、建築の設計においても例外ではない。そうと認識したうえでなお、小さな灯火くらいは掲げられないものか。ここで紹介する1軒の農家の改修プロジェクトには、そうした気宇壮大な意図が含まれている。

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