日本の企業として、ものづくりの精神をどのようにヨーロッパで展開していくのか。そのスタンスが、今年のISHのパビリオンデザインに明確に表れていた。09年の総合デザインも担当したMACHアーキテクトのデイビッド・マークワット氏は、素材の質感を多用したあたたかさのあるデザインについて、次のように話している。「今年は、2年前のTOTOのイメージを変えないように、デザインエレメントは引き継ぎ、空間を前回よりオープンにしました。『ガーデン』と『オープンパビリオン』で構成し、3つのブースを家のようなイメージで配置し、内と外の境界があいまいで外から入ってくる人が自然に内部へと誘導されるようになっています。歩くたびにミシミシ踏み音のする木の歩道を設置して木のあたたかさを表現したり、床には石の質感を用いて、自然の中にTOTO製品が置かれている印象を大切にしています」。
TOTOの空間を具体化するチームリーダーであるTOTO国際事業グループ・丸橋雅弘氏は「今年は、一つひとつのコンセプトはばらばらでありつつも、TOTOという全体像のもと、商品を通して見える構成、技術を体感でき、わかりやすく伝える工夫を凝らしています。実際の生活空間に近い大小さまざまな部屋がたくさんあって、まとまった大きな家になり、庭は開放的な空間として人が自然に集まれる場を意識したのです。自然の木や石を使ったのは、伝統的な技術のなかに、隠れたあたたかさが息づいていることを感じていただきたいという思いが込められています」。
それぞれの部屋にはTOTOのテクノロジーや、ヨーロッパ向けの商品MHシリーズ、NCシリーズが空間展示されていて、オープンスペースの庭にそれらが並べられた。
人々は家に招かれて技術とデザインに触れ、より身近な空間のいざないのなかで自然にTOTOの製品を体感する。空間、製品ににじみ出る「静かなる存在感」。訪れる人の目を釘付けにする技術力とデザイン、そして空間のプレゼンテーション。11年のISHにおいて、TOTOはその存在感を確固たるものとしてヨーロッパの人々に知らしめたといえるだろう。




