特集/ケーススタディ1

建築家らしさを発揮してもらう

―― 都留さんにとって、プロデューサーのかかわるプロジェクトは初めてでしたか。
都留 そうです。今に至るまで、実現したのはこの別荘だけですが、普段の設計の進め方ととくに変わらなかったという印象があります。ただ、普段はクライアントと1対1で、案に対してクライアント以外の意見を聞きたいこともあります。少し困ったときに大島さんにタイミングよく助け船を出してもらったり、見積もり調整のときにきちんとアドバイスをいただきました。クライアントへのプレゼンテーションや打ち合わせでも、第三者の目からクライアントに意見を伝えていただくことで、案の説得力が増したことがありました。
大島 プロデューサーには、クライアントに覚悟を決めてもらう役割もあると思います。予算内に収めることも重要ですが、建築家の意図を尊重させて実現させたいという思いもあります。ですから、その建築家らしさが出なければ意味がありません。プロデューサーはクライアントをサポートすると同時に、建築家をサポートする役目もあるのです。
―― デザインに口を出すこともあるのでしょうか。
大島 場合によってですが、とくに初めの段階で意見することはあります。それはやはり、出てきた案にその建築家らしさが出ていないと感じるときです。「心外だ」と言われたこともありますが(笑)、修正案がクライアントに喜んでもらえてみんなが納得したこともあります。
―― さまざまな方と付き合いがあると、デザインやコストについての押しどころがわかってくると思うのですが、何かポイントはありますか。
大島 ローコストといって押し込むよりは、予算を少しオーバーしても、まずはその建築家らしさを出してもらうのがいいのではないかと考えています。必要であればクライアントにも少し余分に出してもらい、期待以上のよいものをつくってもらおうと心がけています。
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