- 北山 恒 僕は今回の特集にも登場している建築プロデューサー、タカギプランニングオフィスの髙木栄一さんと、アーキネットの織山和久さんとは、それぞれが会社を立ち上げる前からの付き合いです。髙木さんとは、まだ僕と木下道郎と谷内田章夫の3人でワークショップという設計事務所をやっていた1980年代に知り合い、いわゆるデザイナーズマンションの先駆けとなる賃貸集合住宅づくりを一緒に仕掛けていました。一方、織山さんから建築で何かビジネスをやりたいと相談を受けたのは90年代に入ってからで、ちょうどバブルがはじけて土地の値段が下がってきた頃だったので、都市に対する住宅の提案としてはコーポラティブハウスが一番いいやり方ではないかと考えて、一緒に第1号をつくったんです。
そもそも、デザイナーズマンションブームって95年からですよね。髙木さんがプロデュースした集合住宅に入りたいという人が何百人も列をなしたり、『ブルータス』(マガジンハウス)編集部から事務所に「おもしろい集合住宅を探しています」というファクスが入ったりして(笑)。 - 白井良邦 そうですね。私自身も以前は『ブルータス』編集部にいたんですが、当時の看板企画が「有名建築家が建てた集合住宅」特集でした。これがものすごいヒットで、建築だけでこれだけ売れるのであれば、そこだけをスピンアウトさせて1冊雑誌がつくれないかということで、今の『カーサブルータス』(マガジンハウス)が生まれたんです。