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松村 ですが、たとえばカーシェアリングのような動きが出てきています。日本は今、太田さんより若い世代は、経済的に成長していく未来像はちょっと思い描けないですよね。だから、節約とかの方向性はごくごく自然に出てくる。環境的なことを中心に、あるまとまりで居住するのはなかなか合理的だという話は、ものすごく説得力をもってくるような気がしますね。
たとえば、2年前にうちの研究室の修士でゲストハウスを研究した人がいます。そこでいうゲストハウスは、普通の木造住宅を借り切って、個室に分けて、シャワーブースを2、3個つけて、共用のキッチンと居間があるというのが定義なんです。これが東京ではどんどん増えている。
太田 僕も以前ゲストハウスを設計したんですが(「久が原のゲストハウス」2003)、松村さんがおっしゃった学生さんは新築には興味がないようで、私のゲストハウスは、彼にはそんなにヒットしなかった(笑)。都市のなかでは、学生とか短期滞在者がどう住めるかが大事だと思うんです。ゲストハウスはそれに対応できるものですよね。
松村 それは僕も主張したいな。貧乏な若者が住めないと、都市の活力って生まれないんですよ。今、若い人は、ピカピカの新築はカッコ悪いという感じをもっています。
太田 そう、ゲストハウスは都市の既存のストックのロングライフに寄与しているわけです。
野沢 それはわかりますね。業態を変更していかないと、新築だけに対応した建築業界には未来が見えないと思いますよ。