一から学び、積み上げた現場への思い

 当初、不動産会社をスタートさせた福井さんだったが、次第に土地だけでなく家も建てて提供することを考え、少しずつ動きはじめる。「最初は建築も全然わからないから、大工さんを訪ねていろいろ教えてもらうなど、手探りの状態。工事が始まってもわからないことが多いから現場に何度も行く。お客さんにも来てもらう。大工さんも一緒に考える。そんな関係のなかで家をつくっていったことが、結果的にお客さんの満足度を上げることになったのかもしれません」。
 2年後にノーブルホームを設立。しばらくは福井さんがひとりで走りまわり年間10棟前後を手がけ、5年目を迎える頃に水戸展示場を開設する。以後、不動産のネットワークを生かして「その地域で一番いい場所」を押さえては展示場を増やし、現在、展示場は県内5カ所、社員は55名になっている。
 各展示場は、営業、インテリアコーディネイター、現場監督を複数名置く体制だが、役割は流動的。営業職の採用でも、最初の配属は現場を監督する施工部門だ。社員採用の条件として福井さんは「建築や住宅が好きなこと」を真っ先に挙げるが、それは建て主や職人たちと一緒に家をつくりあげるのを楽しめること、と言い換えることもできる。現場からひとつずつ学んで今を築いた、福井さんの信念といえるのかもしれない。

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