一方、「森トラストの女性社員の方にモックアップをご覧いただいて、ヒアリングの結果をもとに、カウンターの高さを下げたり、リップブラシがころがらないようにカウンターのエッジを少し持ち上げたりと、ディテールには気を配ったんですよ」と振り返るのは、オフィスエリアのトイレの設計を担当した戸田建設の伊礼朋次さん。やはりオフィスのトイレを考える際、女性の意見は重要なようだ。
また、女子トイレで目を引くのは床材。コーティングを施した木のフローリングのおかげで、ビル全体の内装にも通じるあたたかな空間に仕上がっている。さらに、N館同様、テナントオフィスビルでは今も珍しい個別収納ボックスを設置している点も注目に値する。
もうひとつ見逃せないのは、男女トイレとも、大便器ブースのうちのひとつが車いすでも入れる広さを確保している点。多目的トイレが別にあるオフィスはよくあるが、介助者を要するほどではない人にとっては、わざわざ別のトイレに行くより、一般のトイレ内のブースで用が足せるほうがうれしいという話はよく聞く。これも一歩進んだユニバーサルデザインの見本といえるだろう。
小さな進化を積み重ね、1棟ごとにステップアップを続ける森トラスト。次なる進化に期待したい。




