オフィスにもあたたかみのある内装を

 5年前にもN館の館内を案内してくださった森トラストの富岡聡さんに先導されて、まず向かったのはオフィスの最上階にあたる26階。基準階のプランを見ると、エレベータ、廊下、トイレといった共用部のコアを東側中央にまとめ、残るコの字形の巨大な整形無柱プレートを実現しているのはN館同様だが、富岡さんいわく、「ここは最上階なので天井高が3mと高いのですが、基準階でもN館より150mm高い2950mm、と同時にOAフロアも50mm高い150mmを確保しました」。床面積627坪の広大なオフィスからは、皇居の緑を背にした丸の内の高層ビル群も、八重洲・日本橋のにぎやかな街並みも、みごとに一望できる。
 次に、富岡さんが進化の第2ポイントとして挙げたのは、共用部の内装デザイン。N館ではモノトーンでシンプルなインテリアが印象的だったが、本館ではより高いグレード感が感じられる空間を目指したと語る。
 全体の設計にあたった安井建築設計事務所の熊谷泰彦さんによれば、「たとえば、オフィスロビーやエレベータホールの壁面にはイタリア製のケースメントを挟み込んだファブリックガラスを用いたり、木質系の内装材を多用するなど、できるだけ自然に近い材料のやわらかな表情を出すようにしました」とのこと。こうしたあたたかみのある内装は、アースカラーを基調としたホテルのインテリアとも呼応し、連続性が出せたという。

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