TOTO
建築の民族誌
 
建築の民族誌
著者=貝島桃代,ロラン・シュトルダー,井関 悠
発行年月=2018年5月
体裁=B5判変型(210×168mm)、並製、200頁
ISBN=978-4-88706-372-3

ブックデザイン=橋詰宗

定価1,650円(本体1,500円+税10%)
キュレーター貝島桃代らが探求した世界のドローイング
TOTO出版は、『建築の民族誌』を2018年5月29日に発行しました。

本書は、ヴェネチアを舞台に隔年で開催される建築の祭典『第16回ヴェネチア・ビエンナーレ国際建築展』(2018年5月26日~11月25日)において、『建築の民族誌』をテーマに展示が行われる日本館のガイドブックです。日本語版と英語版の2種を発行しています。
暮らしは建築を凌駕する。
このことは建築にとってどのような意味をもつのだろう? 建築設計の過程や結果にあらわれる無数の状況を、どうしたら効果的に描きうるのか? ドローイングは単なる表記方法を超え、建築を記録し、議論し、評価するためのどんな道具になりうるのか? ドローイングは人々の利用や要望、思いを探究し、現代のグローバル社会での断片化した暮らしの全体像をどのように描きうるのか?
16回ヴェネチア・ビエンナーレ国際建築展日本館で開催される「建築の民族誌」展のカタログである本書は、大学の設計スタジオ、建築設計事務所あるいは美術作家の実践から生まれた、設計詳細図から空間と活動の連関図、ハイブリッドな都市環境図、自然災害後の農山漁村の大規模調査など、過去20年間、世界各地の42作品を取り上げている。すべての作品がドローイングをめぐる新たなアプローチの探究を映し出している。それらは“of: について”for : のための” “among: とともに”“around: のまわり”といった英語の前置詞に代表されるような建築との関係性から生まれたドローイングであり、同時に社会についてのドローイングである。私たちはこれを「建築の民族誌」と呼ぼうと思う。
(本書より)
立ち読み
プロフィール
キュレーター Curators
貝島桃代 Momoyo Kaijima
アトリエ・ワン、 筑波大学芸術系准教授、スイス連邦工科大学チューリッヒ校、建築振る舞い学教授
1969年東京に生まれる。東京、チューリッヒ(CH)在住。
http://www.bow-wow.jp
https://kaijima.arch.ethz.ch
http://www.geijutsu.tsukuba.ac.jp/~mkaijima
ロラン・シュトルダー Laurent Stalder
スイス連邦工科大学チューリッヒ校建築理論教授、建築理論・建築史研究所所長
1970年ローザンヌ(CH)に生まれる。チューリッヒ(CH)、パリ(FR)在住。
https://stalder.arch.ethz.ch
井関 悠 Yu Iseki
水戸芸術館現代美術センター学芸員
1978年長野に生まれる。茨城在住。
http://www.arttowermito.or.jp
目次

Essays

はじめに ―― 貝島桃代、ロラン・シュトルダー、井関 悠
「建築の民族誌」から学ぶ ―― 貝島桃代
ドローイングはプランではない ―― ロラン・シュトルダー+アンドレアス・カルパクチ
建築とアートのあいだに ―― 井関 悠

Works

Credits

関連書籍
ヴェネチア・ビエンナーレ
Editors: Momoyo Kaijima, Laurent Stalder, Yu Iseki
ヴェネチア・ビエンナーレ
編者=山名善之+菱川勢一+内野正樹+篠原雅武
ヴェネチア・ビエンナーレ
著者=北山恒、塚本由晴、西沢立衛
ヴェネチア・ビエンナーレ
著者=伊東豊雄、乾久美子、藤本壮介、平田晃久、畠山直哉
関連コラム
キュレーターを務めた貝島桃代氏が、展示の狙いを解説します。
「建築の民族誌展」にあわせて開催された国際ワークショップについて、参加学生がレポートします。
ビエンナーレ会場で ⟨Drawing around Architecture⟩ として展示された「カサコ 出来事の地図」について、制作背景やその後の展開、出展の感想などを伺いました。
今回は、出展アーティストのおふたりにお話しを伺いました。建築を題材とした作品も多いおふたりに、建築への興味や作品制作のお話、ビエンナーレ展「建築の民族誌」がどのように映ったのかなどを伺いました。
最終回は、「建築の民族誌」展に関連して開かれたシンポジウムについて、アシスタントキュレーターを務めたスイス連邦工科大学チューリッヒ校博士・アンドレアス・カルパクチ氏による報告です。ドローイングをめぐり、深い考察が展開されています。