『TOTOトイレ川柳』も20回目となりました。日々利用するトイレ、そして一生利用するトイレですが、生活に馴染みすぎた故か、意識にのぼることはほとんどありませんね。でも、トイレ川柳を考えることによって、トイレと暮らしの親しい関係がさまざまに見えてきました。そのココロを詠んだ『川柳がくれるトイレと向き合う日(もちもち豆腐)』がトイレ川柳20回記念賞となりました。最優秀賞は『亡き祖父の手書き九九表トイレの戸(ナポカス)』。何代にもわたって使いつづけてきたトイレの戸にも想い出があるのですね。仲畑貴志賞は『はばかりと言うギャルがいて驚いた(ややこし屋)』『紙がないああ君はもういないのか(口野萌)』『アイドルがトイレの話する令和(なつふね。)』となりました。そのいずれもが令和という時代を生きる人の機微を活写しています。中学生・高校生賞は『落ち込んだ慰めてくれ温便座(味噌カツ)』『回ってる地球でトイレ今してる(トイレ川柳太郎マン)』『どの国もトイレは同じと思ってた(ともきっず)』の3作品。10代ならではの視点が冴えています。キッズ賞は『未来にはどんなトイレとどんな僕(こうちゃん)』『髪よりも今は紙くれじいじ言う(怪獣レミゴン)』『日本から世界へ変わる壁の地図(愛の花)』と、シンプルなぶんだけ直截に伝わってくる句が揃いました。おめでとうございます。その存在を忘れてしまうほど活用度の濃いトイレですが、皆さまの句を読みすすめるほどに、その存在の重要度を知らされた思いです。