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増田信吾+大坪克亘展 それは本当に必要か。

展覧会コンセプト
それは本当に必要か。

最初の設計は、住宅の塀だった。家の境界を成す1枚の壁によって、僕たちのそれまでの建築の価値観は一変した。10m足らずの壁が、切実でありながら、人の生活と庭の植生、街並みを巻き込んでいった。
それは、その家の暮らしとその界隈にとって、最も設計するべき前提に思えた。これ以降、自分たちの思い描いたものをかたちづくるための設計はしていない。では、何を設計するのか。
この展覧会では、これまでの実践において、それぞれどのように設計されるべきことを発見し、状況の中に定着させてきたかを整理してみる。
その場に根本的な影響を与えられる仕組みが設計されることにこそ価値はある。異なる場の成り立ちがぶつかる境界上や、窓や基礎や軒といった部分、見過ごされがちな細かな気付きに、その価値の源が潜んでいたりする。
外側まで大きく視野を広げること、そして目を凝らすことを同時に重ねることで、本当に必要なものは何か、を改めて考える。
増田信吾+大坪克亘
建築家プロフィール
増田信吾+大坪克亘(ますだしんご・おおつぼかつひさ)
2007年に増田信吾(1982年生まれ)は武蔵野美術大学を卒業、大坪克亘(1983年生まれ)は東京藝術大学を卒業し、増田信吾+大坪克亘を共同主宰。増田信吾は2019年より明治大学特任准教授。主な作品に「躯体の窓」(2014)、「リビングプール」(2014)、「始めの屋根」(2016)、「街の家」(2018)、「つなぎの小屋」(2018)、「庭先のランドマーク」(2019)など。
主な受賞にAR Emerging Architecture Awards大賞(2014)、第32回吉岡賞(2016)などがある。
©Anna Nagai
増田信吾(左)+大坪克亘(右)
TOTO出版関連書籍
著者=増田信吾+大坪克亘
写真=永井杏奈