「中山英之展 , and then」会期中の毎週金曜、全9回にわたって開催されたトークイベント「A NIGHT IN CINE-MA」は、上映されたショートフィルムを撮影した施主や、オリジナル・スコアをつけた音楽家だけでなく、プロフェッショナルな映画監督や移動映画館の館主など、「映画」にまつわる多彩なゲストを迎えて開催されました。また、建築をテーマにセレクトされた映画の上映会や、建築家によるライブ・ドローイングを背景にした詩人によるポエトリー・リーディング(サイレント映画時代の活動弁士に見立てられた)など、トークにとどまらないさまざまなプログラムが毎夜繰り広げられました。
映画と建築。分野は違うけれど共通する思考や方法、哲学や思想は多く、映画の話題がいつの間にか建築の話題になり、それがまた映画の話題にと、トークは分野を行き来しながら、毎回あっという間の2時間でした。建築に興味をもつようになった頃、その言語性のようなものに魅せられ、導かれるように知るようになった、建築とは異なる世界のことば。そうしたことばがまた、建築を考えることばを導く。そんな興味はいつしか映画だけに限らず、音楽や文学、演劇やダンスなど、さまざまな分野にひろがっていきました。もしかしたら、この展覧会や「A NIGHT IN CINE-MA」で通じて最も伝えたかったのは、建築を好きになることで、そんなふうに自分にとって世界がひとつ、始まった、その素晴らしさだったのかもしれません。