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RCRアーキテクツ展 夢のジオグラフィー

展覧会コンセプト
夢のジオグラフィー

「私たちにとって人生とは夢であり、建築とは夢を見るための道具である。私たちは夢と建築を通して、真に重要な現実を創造することができる。そのような夢を通して、私たちは人生をたどっていくのだ。」

この展覧会は「夢のジオグラフィー」というタイトルのもと、私たちRCRアーキテクツの歩みと「夢」というコンセプトを示すものである。データや図面、コンセプト・スキームなど基本的な説明に始まり、旧友で写真家の鈴木久雄氏の視点を通じて制作された代表作品の映像へと続き、RCRが建築をどのように理解しつくっているのかを紹介する。その後、「夢のジオグラフィー」として今後何年もかけてたどり着こうとしている私たちの夢、宇宙観(コスモロジー)を体現したプロジェクト「ラ・ヴィラ」の中へと入っていく。
「ラ・ヴィラ」は、森林と水の流れ、そして記憶の住まう土地(ジオグラフィー)であり、その場所は私たちを、開かれた研究の場(ラボラトリー)の創作とその探求へとつき動かした。それは人間の知覚に対する意識を変容させ、新しい関係性や行動を促すことのできるような、横断的で総合的、そして可能な限り最も本質的で根本的な方法でつくられた研究の場となるだろう。
さらに「ラ・ヴィラ」をともに進めている奈良県吉野町の人びとや吉野の森をはじめ、2017年に訪日した際にめぐった各地の旅の体験をまとめたドキュメンタリー映像、テキスト、そして描画(スケッチ)を通じ、RCRと日本との長年にわたる交流を紹介したい。
RCRアーキテクツ
建築家プロフィール
RCRアーキテクツ/ RCR Arquitectes
1988年にラファエル・アランダ(1961年-)、カルマ・ピジェム(1962年-)、ラモン・ヴィラルタ(1960年-)の3人により、スペインのカタルーニャ地方オロットに設立された建築スタジオ。プリツカー建築賞(2017年)をはじめ、カタルーニャ州政府による建築文化賞(2005年)、フランス芸術文化勲章オフィシエ(2014年)など、国内外で多数の受賞歴をもつ。2008年に旧彫刻鋳造工場であった「バルベリ・スペース」へ拠点を移し、2013年にRCR BUNKA財団(日本語の「文化」に由来)を設立して以来、建築とランドスケープ、アートや文化と社会との関わりの促進に寄与する活動を続けている。奈良県吉野町をはじめ多くの人びとの協力を得て、進行中のプロジェクト「ラ・ヴィラ」内に、2017年RCR LAB・A建築研究所を設置。代表作に、「トゥッソル・バジル陸上競技場」(スペイン オロット、1991-2012年)、「ラ・リラ・シアター・パブリック・スペース」(スペイン リポイ、2011年)、「スーラージュ美術館」(フランス ロデーズ、2014年)、「ヴァールゼ・クローク・メディアテーク」(ベルギー ゲント、2017年)など。

©Hisao Suzuki
TOTO出版関連書籍
著者=RCRアーキテクツ