展覧会コンセプト
私たちの建築は、建築やその背後にある人間の営みを、広義の生命活動として捉え直すところから始まる。そのとき、公共建築すら、多様な人びとを異なる「生物種」と読み替えたある種の「生態系」となるだろう。
そのためには、手がかりとなる何らかの考え方、生命の営みと建築をつなぐ、新しいラインを見つけなければならない。この展覧会では、そのような思考のラインとその交錯を、模型を含むさまざまな事物の立体的配列で体験的、博物学的に示す。
新しいことは、生命の本質にある何かである。生きていることとは、変化し続けることだからだ。生命力は、常に更新されるものにこそ、宿るだろう。
とはいえ、ここでいう新しさとは、過去と断絶した完全な見知らなさ、ではない。むしろ、既にそこにあるが、未だ隠されたものを、顕在化させる何かだ。だから私たちは、何もないところから創造したり、発明するというよりは、何かを発見=discoverすることを通して建築をつくりたいと思うのだ。
平田晃久