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TOTOギャラリー・間30周年記念展 アジアの日常から:変容する世界での可能性を求めて|出展者について

出展者について
ゲスト・キュレーターからのメッセージ
この困難な時代に、私たちはいったいどのように建築に取り組めばよいのか。めまぐるしく変化する世の中に、はたして建築は追いついているか。いったい建築は、私たちの日常生活にとって何なのか……。その答えを見つけるために、アジアから5組の建築家を招き、問いへの答えを探る。

紛争と混乱を経てはそのたびに立ち直ってきたアジアには、たくましい生命力がある。そこには力強い思想があり、さまざまな規模と速度があり、危機や難題をものともせずに未来を展望するたくましさがある。そこは欲望の場所であり、失うことを恐れずにひたすらに未来を志向する場所である。

本展では、5組の建築家それぞれの示すアジアの日常をヒントに、私たちはストーリーの展開を追うようにして、自然と建築と日常の関係を探ることになる。チャオ・ヤンとリン・ハオの展示では、自然と建築のスタディをじかに学ぶ。ヴォ・チョン・ギアの展示では、自然の中の建築を間近に見る。チャトポン・チュエンルディーモルと大西麻貴+百田有希は、建築および日常の与えるさまざまな印象を再現してくれる。展示空間で繰り広げられるこのストーリーからは、アジアの建築体験を織りなす各キーワード(日常、自然、建築)の関係もさまざまであることが実感されるだろう。

私たちは彼らに、既成の風景や従来の環境構築の仕方をひそかに覆しかねない力を見る。この破壊行為は、繊細な感性、知的な厳密さ、そして鋭い洞察力をもってなされる。私たちが目にするのは、物質的な量ではなく生活の質を高めるような建築を追い求める姿である。本展は、実は誰もが無意識に経験している〈アジアの日常〉を呼び覚ますものとなるだろう。
エルウィン・ビライ/本展ゲスト・キュレーター
出展者プロフィール
チャトポン・チュエンルディーモル Chatpong CHUENRUDEEMOL
(タイ、バンコク)

1972年タイ、バンコク生まれ。幼少期より家族とともにアメリカで過ごす。1994年カリフォルニア大学バークレー校建築学科卒業、2000年ハーバード大学デザイン大学院で修士号取得。2001年帰国。2004-12年バンコク・アーキテクチュラル・リサーチ(b/A/R)を設立(Varoot Samalapaと共同)、2012年チャット・アーキテクツを設立。2014年「タイ新人建築家2014」に選出。モンクット王トンブリー工科大学(KMUTT)、ランシット大学、チュラロンコン大学などで教鞭を取る。
©KUU
リン・ハオ LING Hao (シンガポール)
1968年マレーシア、サラワク州クチン生まれ。1992年ニューサウスウェールズ州立大学(オーストラリア)にて建築学士を取得。1993-98年シンガポールのタングアンビー・アーキテクツ勤務。1998-2000年ハム・アーキテクツを設立(KM・タンと共同)。2000年リンハオ・アーキテクツを設立。2015年シンガポール工科デザイン大学客員准教授。シンガポール都市再開発庁(URA)建築遺産賞(2007、2013)、国立公園管理局スカイライズ・グリーナリー優秀賞(2013)。大統領デザイン賞(2013、2014)など受賞。
ヴォ・チョン・ギア VO Trong Nghia (ベトナム、ホーチミンシティ)
1976年ベトナム、クアンビン省生まれ。2002年名古屋工業大学社会開発工学科卒業。2004年東京大学大学院工学系研究科社会基盤学専攻修士課程修了。2005年同大学博士課程中に東京大学総長賞を受賞。ホーチミンシティに、2006年ヴォ・チョン・ギア・アーキテクツ(VTN)、2010年合弁会社ウィンド・アンド・ウォーター・ハウス(wNw)設立。2011年VTNハノイ支部を開設。2015年シンガポール工科デザイン大学客員教授。AR HOUSE AWARD (2014)、ARCASIA AWARD BUILDING OF THE YEAR (2014) ほか、ベトナム国内外で受賞多数。
©Nacása & Partners Inc.
大西麻貴+百田有希 Maki ONISHI + Yuki HYAKUDA(日本、東京)
大西麻貴 Maki ONISHI
1983年愛知県生まれ。2006年京都大学工学部建築学科卒業。2008年東京大学大学院工学系研究科建築学専攻修士課程修了。2011年同大学大学院工学系研究科建築学専攻博士課程単位取得退学。横浜国立大学、法政大学などで教鞭を執る。

百田有希 Yuki HYAKUDA
1982年兵庫県生まれ。2006年京都大学工学部建築学科卒業、2008年同大学大学院工学研究科建築学専攻修士課程修了。2009-14年伊東豊雄建築設計事務所勤務。

2008年より大西麻貴+百田有希/o+h共同主宰。主な受賞に、SDレビュー鹿島賞(2007)、新建築賞(2012)、SDレビュー朝倉賞(2012)など。
©Jacque Chong
チャオ・ヤン Yang ZHAO(中国、大理)
1980年中国、重慶生まれ。北京の清華大学を卒業後、2007年に独立してチャオ・ヤン・スタジオを設立。2012年ハーバード大学デザイン大学院で修士号取得。同年雲南省大理市にチャオヤン・アーキテクツ設立。2012年ロレックス・メンター&プロトジェ・アーツ・イニシアティヴの初代建築プロトジェに選抜され、妹島和世の指導のもとで東日本大震災の被災者のための集会所「気仙沼大谷のみんなの家」を設計。WA中国建築賞を受賞。清華大学、同済大学、香港中文大学をはじめ、アート・バーゼル、ジェフリー・バワ記念講演会の講師などに招かれている。
ゲスト・キュレーター
エルウィン・ビライ Erwin VIRAY
建築評論家。1961年生まれ。1982年フィリピン大学建築学部卒業。1986年京都工芸繊維大学大学院工芸学研究科建築学専攻修士課程修了後、1991年東京大学大学院工学研究科建築学専攻博士課程修了。シンガポール国立大学デザイン環境学部建築学専攻准教授を務めた後、2011年より京都工芸繊維大学工芸科学研究科建築造形学部門教授。2015年に同大学特任教授、学長補佐官に就任。
会場デザイン
藤原徹平 Teppei FUJIWARA
建築家。1975年神奈川県横浜市生まれ。横浜国立大学大学院修了。2001年より隈研吾建築都市設計事務所勤務、同事務所室長・パートナーを経て2012年退社。2009年よりフジワラテッペイアーキテクツラボ代表。2010年よりNPO法人ドリフターズインターナショナル理事。2012年より横浜国立大学大学院Y-GSA准教授。
TOTO出版関連書籍
監修=エルウィン・ビライ
著者=チャトポン・チュエンルディーモル、
リン・ハオ、ヴォ・チョン・ギア、
大西麻貴+百田有希、チャオ・ヤン