2023年3月3日
汚れやすいフチをなくし、お掃除もしやすくしたフチなし形状。そのフチなしの実現のために、水の流し方を根本から考えなおし、便器の上から下まで汚れを流しきるトルネード洗浄。
世紀の変わり目に逆転の発想とアイデアで誕生したこれらのコア技術の開発は、開発者の自主的な研究が発端でした。
当時、世界中のトイレメーカーのスタンダードだった「ボックスリム」式の便器。これは、フチの内部が水の通り道になっていて、フチ裏の小さな穴から吐水し、便器内を洗浄する方式です。しかし、ボックスリム式の便器には、穴と穴の間の水が届かない「不洗浄面」があること、隠れて見えずらく掃除しにくいなど、いくつかの問題があったのです。この問題解決のため、当時の常識に挑む「フチなし」を目指すことになりました。
ボックスリム便器の流れ方
(フチ裏に頑固な汚れが付きやすい)
「フチなし」を実現するには、水の流し方を根本的に変える必要がありました。ここで生まれたのが「トルネード洗浄」。フチ裏の穴から水を流すのではなく、1、2箇所の吐水口から水平方向に水を出し、渦を巻くように洗浄する方式です。
ただ、ここで大きな壁にぶつかります。水の勢いが強すぎると便器の外へ飛び出してしまうし、逆に水流が弱いと便器内をきれいに洗えない。水流のバランスが最大の課題でした。最適な便器の形状、水の勢いなど、様々な要素を絡めた検討を何度も重ね、最適な数値を見つけだすことに成功しました。
今でこそスタンダードとなった「フチなし」ですが、当初、TOTO社内でも価値が感じにくいという意見がありました。
実際にトイレ掃除をしていなければ、価値を直感的に理解するのは難しかったのかもしれません。価値のなかったところに、新たな価値を提案する。そのために、「お掃除ワーキング」というプロジェクトも立ち上げました。日本各地のトイレの汚れ方や掃除の実態調査をもとに、トイレを含めた水まわりのお手入れに関するセミナーを全国各地で行い、フチなしの価値訴求を地道に続けたのです。
トルネード洗浄をはじめとするこうした様々な技術は、「流体シミュレーション」によってさらに進化することになります。2010年代から本格導入した流体シミュレーション技術によってトルネード水流による汚物の流れ方を具体的に分析することが可能になり、より効果的な水流の開発や節水が実現できたのです。
特に、最上位グレードの「ネオレストシリーズ」では、2012年、床排水で大洗浄3.8リットルを実現。
2017年には、トルネード水流の吐水口位置を変えることで、より効率的な洗浄と、ほぼ垂直なフチへと進化しています。
お気に入りに保存しました