TOTO

三分一博志展 「風、水、太陽」|出展者について

出展者について
「風、水、太陽」
私が建築を考えるとき、まずその場所にある「動く素材」を見ることから始めます。それは、水や空気などのことです。長ければ、数年におよぶリサーチをします。なぜなら私たちの文化、習慣、歴史の始まりは、「動く素材」そのものだと考えているからです。例えば、神社の位置と地形、棚田と水脈の関係なども、自然との関わりから生まれています。私は丹念にその場所に存在する「動く素材」を読み解き、いかにその場所に適した姿形を建築に与えるかを大切に考えています。仮説を立て、実験や実証、分析を繰り返します。そのうちに、地域と「動く素材」の関係が数百年の月日を経て、「地球」と「先人」から届けられた手紙のように読めてきます。それをまた数百年後の人びとへ綴る手段として、建築というメッセージを送ることができればうれしいと考えています。風の向き、水の流れ、太陽と月、そして地形の恵みによって、その地域ならではの豊かな固有の文化が育まれてきました。
それらをただ建築を通して後世に繋ぐことこそ、この時代を生きる私の役目なのではないかと考えています。
三分一博志
建築家プロフィール
三分一博志(さんぶいち・ひろし)
1968年生まれ。東京理科大学理工学部建築学科卒業。小川晋一アトリエを経て、三分一博志建築設計事務所設立。2003年吉岡賞、2010年JIA日本建築大賞、2011年日本建築学会賞作品賞を受賞。代表作に「エアーハウス」(2001年、山口県)、「犬島精錬所美術館」(2008年、岡山県)、「六甲枝垂れ」(2010年、兵庫県)、「宮島弥山展望台」(2013年、広島県)、「直島ホール」(2015年、香川県)など。現在、デンマーク王立芸術アカデミー教授(非常勤)。
TOTO出版関連書籍
著者=三分一博志