TOTO

ここに、建築は、可能か,第13回ヴェネチア・ビエンナーレ国際建築展 日本館帰国展

展覧会について
展覧会概要
第13回ヴェネチア・ビエンナーレ国際建築展(2012年8月29日〜11月25日)で、日本館は「金獅子賞」を受賞しました。これはコミッショナーを務める建築家、伊東豊雄氏がこの展示を通して、東日本大震災後の建築のあるべき姿を世界に問いかけたことが高く評価されたからにほかならないでしょう。

岩手県陸前高田市に建つ「みんなの家」*は、伊東氏の呼びかけにより3人の建築家――乾久美子氏、藤本壮介氏、平田晃久氏が、共同作業によってひとつの建築をつくるという課題を担い、およそ1年にわたり日本館展示の企画と同時並行させて取り組んできたものです。そして、この「みんなの家」はビエンナーレ会期中に竣工し、地元住民のコミュニティ再生の拠点として活用され始めています。

日本館では、その制作過程を百数十個にもおよぶスタディ模型や図面、記録映像などでドキュメントするとともに、同市出身の写真家、畠山直哉氏が撮影した、震災前、震災直後、現在の陸前高田の写真を展示しました。帰国展では、この日本館展示を再構成し、さらに新たなドキュメントとして、陸前高田の「みんなの家」の完成後の姿を、畠山氏の写真によって紹介する予定です。

「ここに、建築は、可能か」という原初的、かつ根本的な設問設定に対し、建築家たちが取り組んだ陸前高田の「みんなの家」での実践が、これからの建築のあり方を考えるひとつの契機となることを願っています。
TOTOギャラリー・間

*「みんなの家」=無味乾燥な仮設住宅で暮らす多くの人々に対し、より人間的で居心地の良い空間を提供したいとの想いから、「帰心の会」(伊東豊雄、山本理顕、内藤廣、隈研吾、妹島和世)が提案する、東日本大震災復興支援プロジェクトのひとつ。宮城県仙台市宮城野区、岩手県釜石市平田、同釜石商店街、宮城県東松島市に続き、本展で紹介する岩手県陸前高田市の「みんなの家」が11月18日に竣工。
会場写真
[1] エントランス
© Nacása & Partners Inc.
[2] 第1会場全景。陸前高田の「みんなの家」を設計する過程で乾久美子氏、藤本壮介氏、平田晃久氏が作成したスタディ模型120点あまりを展示。全ての模型はヴェネチア・ビエンナーレ日本館で展示されたもの
© Nacása & Partners Inc.
[3] プロセス1 [~2012年1月26日]:初期の建設候補地「大隅仮設団地」に対する提案
© Nacása & Partners Inc.
[4] プロセス2 [2012年1月27日~2月26日]:2012年1月27日、建設地が「高田町大石」に決定してからの提案。丸太を使った案に収斂していく。中央は「杉林調査・伐採・丸太皮むき」の動画展示
© Nacása & Partners Inc.
[5] プロセス3 [2012年2月27日~]:丸太柱案が決定してからの提案。最終案までさらに議論が続く。手前は「陸前高田の『みんなの家』設計プロセス」の動画展示
© Nacása & Partners Inc.
[6] 最終案模型[縮尺:1/10]。左は「地鎮祭から竣工式・その後」の動画展示
© Nacása & Partners Inc.
[7] 第1会場奥から中庭にかけて、東日本大震災に伴う大津波と同じ高度からパノラマ撮影された陸前高田市の風景が展示されている。撮影:2012年6月24日 畠山直哉
© Nacása & Partners Inc.
[8] 中庭に展示された高さ約6メートルの「杉丸太による構築物」。陸前高田の「みんなの家」の丸太柱と同じ伐採地の、津波による塩害を受けた杉丸太を使用。第1会場と第2会場の模型台、スツールにも同じ杉丸太が使用されている
© Nacása & Partners Inc.
[9] 第2会場全景。陸前高田市出身の写真家・畠山直哉氏が撮影した写真による、陸前高田の「みんなの家」のプロセスと、津波被害を受ける前/後の同市の記録展示。右は被災後の陸前高田市で収録された畠山氏のインタヴュー動画
© Nacása & Partners Inc.
[10] 第2会場に張り出した壁は、ヴェネチアの日本館会場内にある壁柱を模したもの。壁面には「陸前高田2011」(写真:畠山直哉/デジタル・スライドショー)が埋め込まれている
© Nacása & Partners Inc.
[11] 30点の写真で構成された「陸前高田の『みんなの家』 2011年11月―2012年11月」(写真:畠山直哉)の展示
© Nacása & Partners Inc.
[12] 第2会場奥より見る。左は「気仙川 2002-2010」(写真:畠山直哉/デジタル・スライドショー)
© Nacása & Partners Inc.
ヴェネチア・ビエンナーレ国際建築展の会場と建設中の陸前高田の「みんなの家」
[1] 第13回ヴェネチア・ビエンナーレ国際建築展日本館
© Naoya Hatakeyama
[2] 第13回ヴェネチア・ビエンナーレ国際建築展日本館: 陸前高田の「みんなの家」の模型
© Naoya Hatakeyama
[3] 陸前高田の「みんなの家」:平地と山の境に立つ
© Naoya Hatakeyama
[4] 陸前高田の「みんなの家」:スケッチ
© 平田晃久建築設計事務所
[5]陸前高田の「みんなの家」:建設中(2012.9.13)
© 伊東豊雄建築設計事務所
展覧会情報
展覧会名(日)
ここに、建築は、可能か 第13回ヴェネチア・ビエンナーレ国際建築展 日本館帰国展
展覧会名(英)
Architecture. Possible here? “Home-for-All”: Homecoming Exhibition of the Japan Pavilion from the 13th International Architecture Exhibition - La Biennale di Venezia
会期
2013年1月18日(金)~3月23日(土)
開館時間
11:00-18:00(金曜日は19:00まで)
休館日
日曜・月曜・祝日
ただし2013年3月11日(月)は開館
入場料
無料
後援
社団法人 東京建築士会
一般社団法人 東京都建築士事務所協会
社団法人 日本建築家協会関東甲信越支部
一般社団法人 日本建築学会関東支部
協力
佐藤淳構造設計事務所
大光電機株式会社
株式会社イーストウエスト
株式会社シェルター
特別協力
独立行政法人国際交流基金
公益財団法人石橋財団
関連プログラム
2013年3月11日(月)17:30開場、18:30開演、21:00終演
TOTO出版関連書籍
著者=伊東豊雄、乾久美子、藤本壮介、平田晃久、畠山直哉