TOTO

出展者について
出展者メッセージ
The Forces in Architecture
 
何がプロジェクトのフォルムを決めるのか。

私たちは、単に答えを出すためにではなく、然るべき問いを設定するためにも、十分に時間をかける。その問いを解決することが、プロジェクトの役目なのだから(見当違いな問いに律儀に応えてしまうことほど不毛なことはない)。

プロジェクトの方程式には不可避の項もある。例えば重力や自然がそうである。重力は事実であり、プロジェクトに重さがあることの帰結でもある。かたや自然はさまざまな度合いで作用するので、私たちはプロジェクトの全体像を見失ってはいけない。重力にせよ自然にせよ原始的な力をフォルムに隔世遺伝させ、そうしてフォルムをいくぶん規定していく。これが恣意性を取り除くフィルターの働きをしてくれる。

普通は気づかないかもしれないが、ほかにも建築に作用する力はいろいろある。むしろ先のふたつよりずっと強力なので、これには素直に従いたい。一例が、生活習慣と日常生活の影響力である。野原を最短距離で横断するための近道を探ること、寝室にさわやかな朝日を取り入れ、逆に夜は暗くすること、あるいは何千年も前から進化していない人間の眼にはまぶしすぎる、オフィスのカーテンウォール越しに射す現代的な光を和らげようとカーテンを吊るすこと、すべては生活習慣の力の痕跡なのである。

いずれの力も、建築のフォルムを決める(仮にこれらを無視したとしても、どのみちフォルムは変わる)はずである。本展は、これらの力の作用の記録である。
アレハンドロ・アラヴェナ
プロフィール
©Víctor Oddó
アレハンドロ・アラヴェナ  Alejandro Aravena

1967年生まれ。チリ・カトリック大学で学び、1994年に自身の設計事務所を開設。2000~05年ハーバード大学大学院客員教授、現在チリ・カトリック大学教授。2009年~プリツカー賞審査員。2010年~王立英国建築家協会国外会員。主な受賞は、2006年エーリヒ・シェリング建築賞、2008年第11回ヴェネチア・ビエンナーレ建築展銀獅子賞、2009年マーカス建築賞、アヴォニ賞、2010年ブリット・インシュアランス・デザイン賞(建築部門)など。2008年英国『icon』誌上で若手建築家20傑のひとりに選ばれた。また世界各地で講演活動も行っている。
2006年よりエレメンタルの取締役。エレメンタルはチリ・カトリック大学およびチリの石油会社COPECの共同出資により設立された営利会社として、インフラ・交通・公共空間およびハウジングなど社会性の高いプロジェクトに携わる。
http://www.alejandroaravena.com
http://www.elementalchile.cl/?lang_pref=en
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著者=アレハンドロ・アラヴェナ